糖鎖を構成する糖鎖栄養素(単糖)の種類

ヒトの複合糖質(糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン)の糖鎖を構成する単糖はグルコースガラクトースマンノースフコースキシロースN-アセチルグルコサミンN-アセチルガラクトサミンN-アセチルノイラミン酸グルクロン酸イズロン酸の10種類あります。

1.糖鎖栄養素「グルコース」

糖鎖栄養素「グルコース」は最もよく知られている単糖で、水によく溶け、色は白く、粉末で甘く、ぶどう糖とも呼ばれています。化学式はC6H12O6で分子量は約180です。グルコースは動物、植物いずれにおいてもエネルギー源の中心に位置する物質です。グルコースはその重合体のグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵され必要に応じてグリコーゲンが再度グルコースに分解されます。ヒトの血液には約0.1%のグルコースが含まれ、それは血糖とも呼ばれています。

血糖の源泉は小腸から消化・吸収されたものと、肝臓のグリコーゲンが分解したものです。血糖は再度肝細胞に回収されてグリコーゲンとして蓄えられるか、他の組織の細胞に吸収されて利用されるかのいずれかです。組織の細胞はグルコースを取り込む場合には通常インスリンが必要となりますが、肝臓は血糖の量を調整するダムのような役割をし肝細胞の膜はインスリンがなくてもグルコースを自由に出入させています。

2.糖鎖栄養素「ガラクトース」

糖鎖栄養素「ガラクトース」は比較的知られている単糖で色は白く粉末で甘く脳糖とも呼ばれていますがグルコースほど水に溶けません。化学式はC6H12O6で分子量は約180です。ガラクトースはグルコースと結合して二糖類の乳糖を作りますが、逆に乳糖からガラクトースとグルコースへの分解は酵素ラクターゼによって加水分解されます。

そこで、ラクターゼを欠いている人は乳糖不耐性になり、乳糖の糖類を栄養素として利用できないことはよく知られています。ガラクトースは乳類の構成成分以外に脳や神経細胞に多く分布する糖鎖などの化合物として存在しています。

3. 糖鎖栄養素「マンノース」

糖鎖栄養素「マンノース」は甘さと苦さの両方があり、カロリー源としてはグルコースより劣りますが、ガラクトースとほぼ同程度の単糖です。化学式はC6H12O6で分子量は約180です。

4. 糖鎖栄養素「フコース」

糖鎖栄養素「フコース」は海藻などのネバネバした成分としても知られるフコイダンで発見され命名された単糖です。化学式はC6H12O5で分子量は約164です。ヒトのABO式血液型ではO型の人の糖鎖は全ての血液型、つまり全ての人(Human)に共通していますのでH型と呼ばれていますが、フコースはそのH型を構成する単糖として存在しています。

5. 糖鎖栄養素「キシロース」

糖鎖栄養素「キシロース」は強い甘みがあり木糖とも呼ばれる単糖です。化学式はC5H10O5で分子量は約150です。キシロースはカエデや桜の木材、わら、トウモロコシ、竹などの外皮に広く分布しています。

6. 糖鎖栄養素「N-アセチルグルコサミン」

糖鎖栄養素「N-アセチルグルコサミン」は潤い成分のヒアルロン酸を構成する単糖です。化学式はC8H15NO6で分子量は約221です。N-アセチルグルコサミンは自然界に広く分布していますが、エビやカニなどの殻に含まれるキチンから抽出されます。

7. 糖鎖栄養素「N-アセチルガラクトサミン」

糖鎖栄養素「N-アセチルガラクトサミン」はヒトでは血液のA型(ABO式血液型)抗原を形成する末端の単糖です。化学式はC8H15NO6で分子量は約221です。N-アセチルガラクトサミンはヒトや動物の感覚神経に集約されています。

8. 糖鎖栄養素「N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)」

糖鎖栄養素「N-アセチルノイラミン酸」はヒトを含む哺乳類の複合糖質(糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン)に最も多く特に脳に分布する単糖です。化学式はC11H19NO9で分子量は約309です。

9. 糖鎖栄養素「グルクロン酸」

糖鎖栄養素「グルクロン酸」はギリシャ語の「甘い」に由来する単糖です。化学式はC6H10O7で分子量は約194です。グルクロン酸はムコ多糖(単糖が100個から10000個結合)の構成成分となったり、ヒアルロン酸などの体内のフェノール性の有害物質と結合して解毒する作用をもっています。

10. 糖鎖栄養素「イズロン酸」

糖鎖栄養素「イズロン酸」はヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖の構成成分として存在する単糖です。化学式はC6H10O7で分子量は約194です。

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