栄養素の基礎知識(脂質)
脂質は1gで9キロカロリー(糖質は4キロカロリー)のエネルギーを産出しますので高効率のエネルギー源となります。脂質はエネルギー源以外に細胞膜、核酸、性ホルモン、胆汁酸などの原料になります。なお、脂質は脂肪酸とグリセリンに分解されて体内に吸収されます。
1.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
脂肪酸は構造的な違いによって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸は鎖状につながる炭素の全てに水素が結合する脂肪酸です。このタイプの脂肪酸は、パーム油、ヤシ油、ラード、ヘット、バターなどに多く、中性脂肪やコレステロールを増加させます。
不飽和脂肪酸は炭素と水素が結合せずに、炭素同士が二重結合している部分を持っている脂肪酸で、さらに細分類されます。
2.不飽和脂肪酸の種類
不飽和脂肪酸は炭素同士の二重結合が1個の一価不飽和脂肪酸(オレイン酸:オメガ9系)と2個以上の多価不飽和脂肪酸に分けられますが、多価不飽和脂肪酸はさらに二重結合が炭素の何番目で結合しているかによってオメガ3系脂肪酸(3番目に結合)とオメガ6系脂肪酸(6番目に結合)に細分されます。
3.オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸
オメガ3系脂肪酸には、α-リノレン酸(ex.シソ油、エゴマ油、亜麻仁油)、DHA、EPAがあり細胞膜の原料や抗炎症性物質の原料になります。オメガ6系脂肪酸には、リノール酸(ex.ひまわり油、大豆油、コーン油、ゴマ油)、γ-リノレン酸(ex.月見草油、母乳)、アラキドン酸(ex.レバー、卵白、サザエ)があり、細胞膜の原料や炎症性物質の原料になります。
4.脂質の上手な摂取法
オメガ6系脂肪酸が過剰でオメガ3系脂肪酸が不足すると、細胞膜がオメガ6系脂肪酸に占拠されて脳機能が低下したり炎症性物質が増えて慢性炎症になりやすくなります。現在、日本人の平均的なオメガ6系とオメガ3系の摂取割合は4:1ですので2:1になるように摂取すると良いでしょう。
オメガ9系脂肪酸(オレイン酸:オリーブ油、菜種油、茶油など)はコレステロールを低下させる作用がありますので少し多めに摂取する。脂質は単純脂質と中性脂肪として存在することもありますが、糖鎖と結合した複合脂質つまり糖脂質は血液型糖鎖抗原として利用されたり、神経細胞のシナプス形成や突起伸長に関与していますので、糖鎖栄養素の摂取をオススメします。