書籍紹介「医者という病」和田秀樹 著

「医者という病」
和田秀樹 著 ISBN978-4-594-09520-8

本書では、いろいろな医学の問題点を著者なりに提起しています。
具体的な問題点は以下の通りです。

第1章 専門医という病
専門外のことを知らないため、総合的に患者の体を診察できる医者がいなくなるという危機的な状況に陥っている。総合診療のきちんとした研修を受けていない医者は開業できなくする、公的な保険の適応外にするなどのシステムを模索すべき。

第2章 大学病院という病
大学病院は「教育」「臨床」「研究」という三つの役割があるため、普通の病院より「臨床」の質は劣ります。上下関係ばかり気にする人たちが多数派を形成し、偉い立場(教授)に立ち、医者をやっています。そして、既存の利権をもち不勉強な教授陣は、プライドがとてつもなく高く「新しい研究」や「自分達に都合の悪い研究」は認めようとはしません。

第3章 薬という病
高齢になると薬の過剰摂取は体に薬が蓄積し体調を崩すため量や飲むサイクルを調整する必要があります。しかし、日本で起こったほとんどの薬害では、製薬会社は訴えられても、内科医は訴えられていません。また、薬を多く使うと医者や病院は製薬会社から、研究費助成などの見返りがあり、大学の医学部は製薬会社に依存しないと研究室の維持ができません。

第4章 検査という病
日本の医療業界は、世界的に見ても「検査」や「検診」が過剰です。その中で、特に問題なのが「正常値主義」です。検査数値を「正常値に戻さないと危ない」という概念を医者が植え付けているため、健康診断で悪い数値が出ると必要以上に怯えて、自ら薬を積極的に飲もうとする患者さんが後を経ちません。本来、医者の役割は、自分の臨床試験を元に、その患者さんの個人差や状態を見極め、適切な「診療」を行うことです。

以上の他に第5章医学部という病、第6章医者という病および第7章医者に騙されず幸福な人生を送るためにが記されています。
患者が知らない"医療界の不都合な真実"

2024年7月4日 9:04  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介「すばらしい医学」山本健人 著

「すばらしい医学」
山本健人 著 ISBN978-4-478-11801-6

医学を学び、自らの体について知ることは、途方もなく楽しい営みだ。
著者が医学生の頃から約20年間、絶えず味わってきた知的好奇心を満たす喜びを、多くの人に伝えたいという思いで本書が執筆されました。

第1章 あなたの体のひみつ
人体が「いかによくできた構造物であるか」「なぜこれほど優れた機能を持っているか」について、頭からつま先まで順に解説

第2章 画期的な薬、精巧な人体
抗生物質やスタチン、ステロイド製剤など、医学史を変えた薬について紹介する。薬のしくみを知ることは、すなわち、人体の機能を知ることと同義。

第3章 驚くべき外科医たち
手術の歴史に革命を起こした外科医たちの功績を紹介。世界で初めて消毒を発明したジョセフ・リスターや、外科医として初めてノーベル賞を受賞したエミール・テオドール・コッヘルなど、現代の手術の基礎をつくった外科医たちの生き様を、現代の外科医の目線で解説。

第4章 すごい手術
電気メスから内視鏡、手術支援ロボットまで、手術の進歩について紹介。テクノロジーの進歩が外科学に引き起こした驚くべき変革に心躍るような知的興奮を感じる。

第5章 人体を脅かすもの
放射線や一酸化炭素、致死的なウイルスなど、人体に危機を及ぼす脅威について解説。意外にも私たちの体は脆く、周囲の環境は危険に満ちあふれている。こうした事実を知ることで、必然的に医学が果たす役割について思いを巡らせる。

本書で語る1つ1つのエピソードは、誰もが知る身近な話題から始まるが、奥に続く知識の海は深く広大だ。本書を読めば、「医学」という学問を、まるで高台から俯瞰するような心地良さを味わえるだろう。
私たちは、自分の体のことをほとんど知らない!!

2024年6月20日 9:04  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介「在宅医が伝えたい「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと」中村明澄 著

「在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと」
中村明澄 著 ISBN978-4-06-533264-1

在宅医になって11年。これまで1000人を超える患者さんを看取り、「できるだけお家で過ごしたい」という患者さんの希望が叶えられるよう努めてきました。
「生き方も逝き方も自分らしくあってほしい」と願うものの、人生の最終段階について考えることは普段の生活のなかではなかなかないと思います。
そこで、著者が日々の診察を通じ患者さんやご家族から教わった人生の最終段階の豊かな過ごし方や幸せな最期の迎え方についてお伝えすることで、みなさんがこれからの人生を考える上で役立ててほしいという思いで本書が出版されました。

幸せな最期を迎えるための3つの条件
(1)過ごす場所、(2)やってもらいたいこと(医療や介護)、(3)やりたいこと(夢)
まず(1)の最後を過ごす場所には、自宅、施設、病院という選択肢があります。メリット、デメリットがそれぞれありますが、まず過ごす場所に選択肢があり、それ選択できる可能性があることを知っていることがとても大切です。なぜなら、「本当は家で過ごしたい」と願いながら入院している人が、「望めば家に帰ることができる」という選択肢を知らないままに、病院で亡くなるからです。 
(2)の受けたい医療や介護も同様で、例えば胃瘻などの延命治療は、一度開始すると途中でやめることが簡単にはできません。ですから「とりあえず」と安易に開始することは避け、正しい情報をもとに、きちんと考えて納得のいく選択をすることが大切です。受けたい医療や介護により、過ごしたい場所も変わります。
(3)のやりたいことについては、「やる時期」が大切です。病気によっては、たとえ余命1カ月であっても、一見元気に、少し調子が優れない程度に見える場合があります。すると、「もう少し体調が良くなってからしよう」とやりたいことを先送りすることがあります。ですが実際は、その後に病状が進んで動けなくなるため、結果的にやりたいことができず、望みを叶えられるチャンスを逃してしまうことがあります。
幸せな時間を過ごす第1歩は"知ること"から始まる!!

2024年6月6日 9:08  カテゴリー:書籍紹介

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