書籍紹介「もしかして認知症?」浦上克哉 著
「もしかして認知症?」
浦上克哉 著 ISBN978ー4ー569ー85400ー7
Ⅰ 軽度認知障害(MCI)と認知症
1.両者の根本的な違い
(1)現れる症状によって、日常生活に支障をきたすかどうか
(2)もの忘れなどのミスを繰り返すことを自覚できるかどうか
2.正常な状態に戻れる可能性
(1)MCIの段階であれば、まだ、認知機能を正常に戻せる可能性はあります。
(2)認知症になったらMCIに戻ることはありません。
(3)認知症になると、その進行(軽度→中度→重度)を遅らせるだけで根本的な治療法はありません。
Ⅱ 認知症発症の12のリスク要因(2020年度版「Lancet」)
ライフステージを以下の3つに分け、それぞれのリスク因子を解消すれば、合計で認知症の発症リスクを40%下げる可能性を発表しました。
1.若年期(45歳未満)…低学歴(7%)
2.中年期(45~65歳)…難聴(8%)、頭部外傷(3%)、高血圧(2%)、過度飲酒(1%)、肥満(1%)
3.高齢期(66歳以上)…喫煙(5%)、抑うつ(4%)、社会的孤立(4%)、運動不足(2%)、大気汚染(2%)、糖尿病(1%)
なお、著者は上記12のリスク因子以外に、「質の悪い睡眠」を指摘しています。
Ⅲ 主な認知症
認知症は1つの病気ではなく「病気の症候群」で細かく分けると100種類もあると言われていますが、以下の4つの認知症が全体の9割を占めています。
1.アルツハイマー型認知症
2.レビー小体型認知症
3.血管性認知症
4.前頭側頭型認知症
1.アルツハイマー型認知症
(1)認知症患者の総数の6~7割を占めています。
(2)症状が急激に変化することはなく、ゆっくりと進行します。
(3)軽度の段階である最初期に、「嗅覚障害」が起きます。
(4)昔のことはわりと覚えていますが、最近のことが覚えられない。
(5)「運動障害」がないため、早期発見が非常に難しい。
(6)つまり、嗅神経から海馬の機能低下、次に頭頂葉の機能低下、それから前頭葉の機能低下という順番です。
2.レビー小体型認知症
(1)「αシヌクレイン」というタンパク質がたまり、ピンク色の丸い「レビー小体」がつくられます。
(2)幻覚(後頭葉の障害)や妄想という症状が出てきます(精神科の受診)。
(3)「手が震える」「歩行が小刻みになる」「筋肉が硬くなる」などのパーキンソン症状が出ることもあり早期に発見されやすい(脳神経内科の受診)。
(4)便秘や嗅覚障害、睡眠障害が生じることもあります。
3.血管性認知症
(1)一番多いのは脳の血管が詰まる「脳梗塞」、次に脳の血管が破れて起こる「脳出血」が多い。
(2)原因は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病なので、「予防可能な認知症」と呼ばれています。
(3)症状としては「やる気が出ない」「意欲がない」のため、うつ病と間違えられることが多い。
(4)次に症状としては「前頭葉」の機能低下により、抑制したり我慢することができなくなり、意味のない泣く、笑う、怒るなどの「感情失禁」です。
(5)前頭葉のバランス機能低下により、歩き方が「幅広(開脚)歩行」になる人もいます。
4.前頭側頭型認知症
(1)前頭葉と側頭葉が萎縮「ピック球」と呼ばれる小体が見つかります。
(2)「味覚の変化」や「嗜好の変化」があるので、早期に発見されやすい。
(3)患者数は少ないが、「常同行動」や「持ち去り行動」があるため、社会問題になりやすい。
軽度認知障害ならまだ引き返せる!!
2023年8月3日 9:07 カテゴリー:書籍紹介
《夏期休業のお知らせ》
《夏期休業のお知らせ》
誠に勝手ながら8/11(金)~8/15(火)まで夏期休業とさせていただきます。
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2023年8月2日 9:28 カテゴリー:お知らせ
書籍紹介「健康の大疑問」山田悠史 著
「健康の大疑問」
山田悠史 著 ISBN978ー4ー8387ー7514ー9
ヘルスリテラシーは、今の時代を健康に生き抜く上でますます必須の能力になりつつあります。情報の取り方を間違え、デタラメな情報ばかりを信じてしまえば未来の自分の不健康に直結することにもなりえます。そこで、本書では難解な論文をベースにして、実際にはどこまで分かっていて、何が分かっていないのか、またその考え方についても示しながら、ヘルスリテラシーを向上できるよう工夫されています。
例えば
1.耳たぶに縦ジワを見つけたら?
耳たぶの縦ジワはFrankサインと呼ばれており、心臓の血管になんらかの病気が生じている可能性があります(全身の動脈硬化→耳たぶでの動脈硬化→耳たぶの脂肪組織の萎縮)。
2.痛風にプリン体制限は有効?
プリン体制限よりも、痛風の防止には、肥満の方はダイエット、飲酒の方は節酒、そしてバランスの良い食生活。
3.断食で長生きが可能になる?
断食で長生きできるかは、マウスでそれを示唆する知見が得られていますが、人間でそれが起こるかどうかはまだよく分かっていません。食事は「時間より量だ」と思われます。
4.冷え性は病気のサイン?
冷え性は症状であって単一の「病気」ではないので、その原因にアプローチする必要があります。貧血ならば貧血を治す、甲状腺の病気ならばホルモンの補充、痩せすぎが原因ならば、少し体重を増やす。
5.「貧血には鉄分」の真偽
「貧血」には様々な原因があります。原因が鉄欠乏であれば、出血の有無をまず探し、有ればその治療、なければ鉄のサプリメントをとることで鉄不足が解消。原因がビタミンB12欠乏であればそれを補充。骨髄の造血に問題があれば、その治療を行う。
6.風邪薬は風邪を治す?
風邪薬は、風邪を治す薬ではなく、風邪にともなう症状(熱、鼻水、全身の痛みなど)を軽くするための薬です。
最新の知見を駆使し、健康情報の真偽を問う!!
2023年7月20日 9:03 カテゴリー:書籍紹介