書籍紹介「病名がつかない“からだの不調”とどうつき合うか」津田篤太郎 著
病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか
津田篤太郎 著 ISBN978-4-591-14222-6
医師の仕事は、よく“診療”と表現されます。診療とは診と療、すなわち患者さんを診ること(診察・診断)と、病気を治すこと(治療)から成っています。この2つのステップは分かちがたく結びついています。診断することは、患者さんに対して、病気の成り立ち(病因)を説明することを含んでいて、それが患者さんの不安を軽減させることにつながれば、治療の一環だと言えます。
また、治療は“聴く”ことから始まるとも言われます。つまり、患者さんが病室に入ってきたときに、病気について話すのを丁寧に聴くこと自体に、不安と苦痛を和らげる効用があるのです。医師は、この診と療の腕前を日々精進して磨いていますが、現実には様々な困難が転がっています。その困難について、読者の皆さんに少しでも興味を持っていただこうというのが本書の狙いです。例えば、
(1)なぜ病名がわからないのか
・まず、1つ目に挙げられるのは、純然たる知識不足
・次に思考停止による見逃し・見落としで、これは日常業務の多忙さが原因であることが多い。
・3つ目は思い込み。例えば「蝶形紅斑=全身性エリテマトーデス」というパターン認識で診断を下すと、あとで大きな落とし穴にはまってしまうこともある。
(2)医師はどのようにして診断をつけているのか
・患者の「主訴」をいかに聞き出すか
・膨大な病名からどう診断していくか
・検査は時にはウソをつく
(3)現代医療にできること、できないこと
・原因と結果が一直線ならば、西洋医学は有効ですが、ネットワークの病気は苦手
・原因はわからなくても治療はできる
以上のような、今の医療が抱える問題の全容が見えてくれば、医師の仕事が、今までと違って見えてきます。
2015年1月15日 8:54 カテゴリー:書籍紹介