書籍紹介「人間、このタガが外れた生き物」 池田清彦 著
人間、このタガが外れた生き物
池田清彦 著 ISBN978-4-584-12406-2
ライオン、サル、アザラシ、魚、アリ、チョウなど様々な生き物の世界から、人間世界を見て見ると、例えば、人間だけが家族を単位にひとつ所に住み、誰が「父親」かを知っており、子どもの頃に生き別れると親に会ってみたいなどと思う。不思議な生き物だ。
そして、仲間に食べ物を分かち与える。
サルは、そんなことはしない。ニホンザルでもエサを手にしたサルは少し離れたところで仲間に背を向け、取られないように独り占めして食べる。
人間も1つの生物であるが、生物として見ると、以上のように「タガの外れた」生き物である。また、人間のように戦争をしたり、自然破壊したりする生き物はいない。
人間が実際に戦争を始めたのは今から1万年くらい前、農耕によって富を蓄積するようになってからで、それまでは戦争などしてもしょうがなかった。農耕は富を蓄積するから、自分が飢えたときに、隣の部族がいっぱい持っていたら、そこから奪おうと考える。そのままにして死んでしまうよりも、一か八か戦争すれば、ということで始まったのだろう。それで、今度は攻められるのがいやだから、周りに堀を作ったり、城を作ったりして守ろうとした。あるいは、人数が増えてきたら、弱い奴のところへ行って、そこの土地を取り上げたりした。
「タガが外れた」生き物ではあるが、それでもやっぱり人間は生物である。生物としての限界を超えることができるわけではない。寿命は永遠には延びないし、エネルギーがないのに繁栄を続けることも不可能だ。だから、生き物としての視点から見ると、ヒトがどのように環境に適応して生きていったらよいかは、自ずと答えが出せるはずである。
本書は、生物の世界から得る、現代社会を生きるヒントを提供している。
人類は生物界の外来種!!
2014年8月21日 9:13 カテゴリー:書籍紹介