書籍紹介「患者の“危機管理”23のノウハウ」 田島知郎 著
患者の「危機管理」23のノウハウ
田島知郎 著 ISBN978-4-921192-85-3
救急医療体制が世界に類の無い見事な形で整備されているはずなのに、また本来は救急医療の一部であり、どの病院にも地域医療を守る責務があるはずなのに、多くの救急病院ですら、急患を受け入れられない状態である。これは誰が見ても理不尽過ぎるのではなかろうか。それでは入院中の患者が急変しても対応が不満足になるはずで、この国の医療全体が多面的に間に合っていないことの一つの表れだ。救急病院の関係者が集まって、連携の強化を協議して解決できるレベルをはるかに超えた根深い問題がここに潜んでいる。
わが国には世界に誇る国民皆保険制度が完備され医療者側が「医療では患者が最優先」と唱え「これほど恵まれた医療を受けている国民は他にいない」と国中が思っている。しかし、診療現場では医療が金儲けの一つとして商売になったかのように「検査をやたらに受けさせたがる医師の診療姿勢が目立ち」自分たちの病院の生き残りの方が優先されていある。
この国の医療危機・医療崩壊の状況が深刻過ぎるので、国民は実態を知らない方が幸せと誰かが慮って、その根源的な原因も一緒にまとめてタブーにしておこうとする隠蔽工作を弄している。そして、そこに荷担する者の輪と力が強大化して、この国が不合理な「医業の仕組み」に固執する呪縛状態に陥っている。
患者ニーズにのっとる医療を整備する国と医療者側の責務がどこかに消えて、最適な医療を求めるのは患者側の役目になっている。そこで、本書では医療危機・医療崩壊の実態と、その原因の周辺を洗い出し、官民共謀の隠蔽工作についても見聞し、病院で今起きている患者が知らなければならない恐い本当の話を暴いている。
この危ない医療の現実を知らないと取り返しがつかない!と日米両国の医療現場を知る医師が勇気を持って語る。
2014年8月7日 8:50 カテゴリー:書籍紹介