書籍紹介「睡眠と脳の科学」 古賀良彦 著
睡眠と脳の科学
古賀良彦 著 ISBN978-4-396-11356-8
睡眠科学は、ほんの100年ほど前に始まり、その後ドイツの精神科医ハンス・ベルガーの脳波の発見により発展し、この20~30年間で急速に進歩しています。その結果、科学的に次のようなことがわかってきました。
(1)人は活動するために疲れた脳や体を休ませ、心身のストレスを解消するために眠る。
(2)また、脳に入ってきた様々な情報を整理して、記憶として留めておくために眠る。
(3)さらに、睡眠が不足すると免疫力が低下して重大な病気を引き起こす。
本書では、はじめに睡眠のメカニズムや人体・脳に対する睡眠の役割を分かりやすく説明し、快眠できる環境を示しています。その上で、徹夜をする時、早朝に起きる時、一夜漬けで効率的な勉強をしたい時、半年後の試験に向けて記憶力を高めたい時、かぜをひいた時…など、それぞれに効果的な睡眠法を紹介しています。
そして、睡眠と病気との関係では、良質な睡眠をとっていない人、慢性的に睡眠不足の人は、高血圧になる確率が高く、これに運動不足、喫煙、大量飲酒などの悪しき生活習慣や肥満、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病が重なれば、心疾患や脳卒中を発症するリスクが急速に高まることも指摘しています。
さらに、軽度短期不眠状態(かくれ不眠)つまり、医学的に治療を要する不眠症の一歩手前の段階で、専門家の治療は特に必要ないが、放置すると、やがて本格的な不眠症につながる症状や症状でわかる睡眠障害のパターンと治療法なども紹介されています。
本書は、快眠を得る“守り”の睡眠から睡眠を効果的に活かす“攻め”の睡眠までを網羅した決定版です。
2014年4月24日 9:07 カテゴリー:書籍紹介