書籍紹介「体内時計のふしぎ」 明石 真 著
体内時計のふしぎ
明石 真 著 ISBN978-4-334-03776-5
ガンや糖尿病などの現代病の原因は大きく2つの要因にわけることができると考えられています。1つ目の要因は、私たちの体の設計図である遺伝子に関連するものであり、これは「遺伝的要因」と呼ばれています。これに対して、もう1つの要因は、私たちを取り巻く環境中の因子に関連するものであり「環境的要因」と呼ばれています。これは、私たちの体を取り巻く病気の誘因に関わるすべてのもので、例えば、細菌やウィルスのような生物学的な因子だけでなく、気温、湿度、化学物質、光環境、さらには食事のような生活習慣まで含まれています。
すべての病気は、この遺伝的要因と環境的要因によって引き起こされ、どちらの要因が原因となるかは病気の種類によって違います。ただ、実際にはこの2つの要因の両方の影響を受けている病気が大半です。そして、多様化する現代疾患は、環境的要因による影響が大きいと考えられています。
通常、私たちの体を設計している遺伝子の構造は数百年程度では大きな変化は起きないと考えられます。特に人間は世代交代に時間がかかる生き物なので、遺伝的変化が人間の集団内に固定されるには、途方もない時間がかかると想定されます。つまり、言い換えれば、こうした遺伝的要因は急速に増えてきた現代特有の疾患の原因である可能性はほぼないと考えられます。従って、私たちを脅かす現代型疾患の原因は環境的要因の中に存在しているはずです。この環境的要因の大きな1つとして、本書では現代特有の時間的環境と体内時計の関連に着目しています。
「体内時計」とは体の種々の機能や現象において、約24時間リズムを発生させる生体機能を指し、最近、この体内時計と健康との関係が次々と明らかにされ、注目を集めています。病気のリスクを高める「24時間社会」に生きる私たち現代人は、どうすれば心身の健康を保つことができるか。本書では最新の研究成果から個々人が自分の身を守るヒントを示しています。
あなたは、「朝型人間」ですか?「夜型人間」ですか?
2014年3月6日 9:26 カテゴリー:書籍紹介