書籍紹介「病気になる人、ならない人」 土橋重隆 著
病気になる人、ならない人
土橋重隆 著 ISBN978-4-7973-4245-1
真面目で多くの人に愛され、健康情報にも敏感で、絵に描いたような健康的な生活を送っていた人が突如として「がん」で亡くなってしまう。かと思えば、酒、タバコを愛し不規則な生活を好み、自分勝手で、いい加減、みんなから疎まれている人が“憎まれっ子世にはばかる”を地でいくように風邪ひとつひかずに長生きしている。といった事もまれではない。
こうした現実を見る限り私たち人間の体とは、必ずしも全て「科学的に説明できるもの」ではないようである。西洋医学100年の歴史の中で、ほぼ完全に治療させることができるのは、抗生物質による感染症治療と一部の外科治療だけというのが実情です。では、西洋医学で治せない病を治癒させることは不可能なのか、そもそもなぜ人は病になるのか。この問いは著者が20年間どっふりつかってきた西洋医学の世界に疑問を感じ、副院長を務めていた病院を辞め、一介のフリーのドクターになって以来、常に自らに投げかけてきた問いである。
そして、病気の本当の原因は現代医学が捨て去った「目に見えない領域」の中にこそあると確信するに至った。つまり、一般論では語れない個々の患者さんの生活史や考え方、感情など心の中にこそ病気の原因がある。
例えば、右乳がんと左乳がん患者さんでは違うストレスがあることを発見した。右乳がんになった患者さんの場合に共通しているのは、がんになった理由がまったく思い当たる節がない。しかし、対話をすると夫や義父など身近な男性との間に何らかのトラブルがあり、それが強く長いストレスになっている。一方、左乳がんの患者さんの場合は、がんになった原因について尋ねると、あまり間をおかずに、肉体的にかなり負担をかけた時期があったとすぐに答えることができた。また、著者が出会った進行がんが治癒した患者さんは、過去との決別もフルモデルチェンジも、ごく自然にできた人である。
今まで、病気は突然襲う理不尽なものと考え、他人である医師の技術に頼って治そうとしていた。しかし、がんやその他の慢性疾患は患者さん自身の心の問題、生き方に問題があるので関心を内側に向けて心を養うことが生命力を高めることにつながると、著者は結論づけている。
2013年12月26日 9:32 カテゴリー:書籍紹介