書籍紹介「医者ムラの真実」 榎木英介 著
医者ムラの真実
榎木英介 著 ISBN978-4-7993-1399-2
日本の医療が崩壊する…そういわれて久しい。医療費の高騰、モンスター患者、患者たらい回し、医療訴訟、小児科・産科・外科の危機、医師不足、医学部新設問題、医師と患者関係の変化、医学生の学力低下、地域医療崩壊…ぱっと思いつくだけで、これだけの話題がある。著者はかつて大学で生物学を学び、卒業後は大学院で研究をしていた。いろいろ思うところがあり、一念発起して医学部に入りなおした。医師免許を取得したとき、32歳になっていた。実は医師の少なくとも一割(個人的な実感)は、著者のように大学院を卒業、中退したりあるいは社会人を経験したりしている「遠回り組」だ。
そんな異端な医師である著者から見えてきた、報道もされないし、注目もされない、あるいは誤解されているけれど、それらは日本の将来に深刻な事態をもたらすかもしれない、そんな医療問題があることを読者に是非お伝えしたいと思ってペンをとった。そんな問題があることは実は医師だって知らないかもしれない。そんな問題を掘り返すなんて「うるさい人」の性だと思うけど、あえて「うるさい人」になろうと言う。
もちろん本書は、30万人近くいる医師の一人である著者の視点を通して見えてきたものでしかない訳で、数ある医療関係の本にささやかな一冊を加えるに過ぎないかもしれない。しかし、本書は地べたを這いずり回りもがく現役医師である著者が、いままで光があたってこなかった部分を照らし、危機にある医療のリアルな現状と問題点をさまざまな角度から描き出すとともに、読者一人ひとりが日本の医療を変えていくために、どう考え何ができるか、そのヒントを提示するものだ。
マスコミが書かない医療業界の問題を衝く!
2013年11月21日 9:18 カテゴリー:書籍紹介