書籍紹介 「免疫療法に近づくな」 近藤 誠 著
免疫療法に近づくな
近藤 誠 著 ISBN978-4-7505-1313-3
がんと免疫については、世間の人々が誤解していることがたくさんあります。たとえば「免疫力が高いと長生きできる」。これが社会通念であるため、健康診断の採血結果で白血球数が平均より多いと喜び、少ないとがっかりしてしまう人が多い。しかし、統計では白血球が多い人たちの方が生存率が少し低くなります。別の誤解は「免疫力を上げると、がんに罹りにくくなる」。そこで健康なときから免疫力増強に励む人が大勢います。しかし、実際には、免疫力が高くなった症状「炎症」があると、がんの発症率が上がります。慢性肝炎があると肝がん発症率が跳ね上がります。安倍首相の持病である潰瘍性大腸炎も経過が長くなると大腸がんが発生しやすくなることが知られています。
一方、市中のクリニックでは様々な免疫療法がなされていますが、治癒効果や延命効果が実証されたものは1つもありません。そこで行われている「免疫細胞療法」「樹状細胞ワクチン」「ペプチドワクチン」「爪もみ療法」「丸山ワクチン」などは全部デタラメです。それなのに患者・家族は医者たちの甘い言葉にのせられ、数百万から数千万円を巻き上げられています。
免疫システムはがんにはほとんど無力です。また、「免疫療法は体にやさしい」はウソで「本当の免疫療法」は命がけになります。そこまで危険を冒さないと、免疫療法でがんを退治することはできず、あまりに危険なため日本では大学病院などでもおこなわれず、海外のごく特殊な研究施設のみで行われています。
そこで、著者は「免疫力」より「抵抗力」を大切にするようにすすめています。抵抗力とは体をつくっている個々の細胞や組織の頑丈さをいい、細胞本体が頑丈で、細胞の集合である組織の強度が高ければ、がん細胞が増殖し組織に侵入するのを抑え込めるはずです。
従って、がんになったら食事療法には目もくれず美味しいものをいっぱい食べて、体重維持を図ることが延命するためのコツであると主張しています。
2013年9月19日 9:07 カテゴリー:書籍紹介