書籍紹介 「本当は怖い“糖質制限”」 岡本 卓 著
本当は怖い“糖質制限”
岡本 卓 著 ISBN978-4-396-11319-3
あなたはなぜ、糖質を制限しているのでしょうか。
やせるため、あるいは糖尿病で血糖値をコントロールするために…。
たしかに、世界的に見ると過去10年にわたり、肥満者はうなぎ上りに増加し、死因の第5番目のリスクとされています。日本人の肥満度はそれほど深刻ではありませんが、太っている人は、やはり年々増加しています。
肥満になると、著者の専門の2型糖尿病をはじめ、高血圧、脂質異常症、脳卒中や心筋梗塞に代表される心血管病、変形性関節症、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんに罹るリスクは増加します。そこで、現在さまざまなダイエットに取り組む人が増加しています。いま流行しているのは主要栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の摂取比率を変えて体重を減らすダイエット方法です。なかでも一般的にも国際的にも一番関心を集めているのは糖質制限ダイエットでしょう。
糖質を制限すれば、短期的にやせることはまちがいありません。しかし、ダイエットは単に体重が減ればいいのでしょうか。ダイエットは、肥満症、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの予防や治療に役立つだけでなく、心血管病やがんの予防にも寄与すべきだと著者は主張します。ところが、糖質制限ダイエットの現実はまったく異なります。例えば、2012年にはスウェーデンから「糖質制限により心血管病が増えた」という報告があり、さらに2013年1月には、日本の国立国際医療研究センターが「5年以上の糖質制限で死亡率が上昇する」とアメリカ科学誌「プロスワン」に発表しています。これら以外にも国内外の論文が以下の危険性を続々と報告しています。頭痛や末梢神経障害になる、骨粗鬆症になる、うつ病になる、がんになるなどです。
本書は糖尿病治療の権威が「糖質制限はやめなさい!」と警告を発し、その危険性をわかりやすく解説しています。
2013年7月25日 8:53 カテゴリー:書籍紹介