書籍紹介 「がん保険のカラクリ」 岩瀬大輔 著
がん保険のカラクリ
岩瀬大輔 著 ISBN978-4-16-660893-5
保険を選ぶ際にもっとも大切なのは「いくら払って、その代わりに何を保障してもらえるか」という算式である。高い確率で起こる事象を保障してもらうためには、その分保険料は高くつく。保険料を低く抑えようと思えば、その分保障範囲を限定しなければならない。その点において「お得な保険」なんてものは存在しないのである。
がんを始めとする病気に備える手段としては、保険はほんの一部であることを認識して、実際にがんに罹る確率や、そのときの費用、どのようなリスクにいくら保険料を払って、どんな保障を受けたいのか、冷静に検討した上で保険加入を考えるべきなのである。ここで注意すべきは、年齢が高くなるにつれて保険の機能は弱まっていくことである。とすれば、がんに対して保険で備えるという考えは、発生確率が比較的低い30代・40代のうちには成り立つが、60代・70代になると機能が弱くなっていく(これは一般的な民間の生命保険についても同様)。保険会社側としては若いうちから保険料をもらって積み立てていくか、高齢者の間で保険料高くするか保障を小さくするかで、まかなわざるを得ない。一方、それが公的健康保険において機能するのは、保険料で足りない分については税金を投入することや、保険料を給与比例で設定することで高所得者から低所得者へ、ないしは現役世代から高齢者への所得移転を行っているからである。
ひとつ確実なのは我々は皆、老いるし、老いたら体が弱くなり病気をし、高い確率でがんに罹るというjことである。だとすれば、がんという病気に関する正しい知識を身につけ、健康な生活を心がけ、定期健診を受診し、ある程度の貯蓄をしておくことこそ、がんに対する最高の「保険」なのである。
本書はネット生保の副社長が、がん保険にまつわる「迷信」を一刀両断し、正確な知識があれば、いたずらに不安にかられることなく賢い選択ができると説いています。さらに民間医療保険と公的医療保険の課題も指摘し、これからの時代に合った備えを教えています。
2013年4月11日 8:59 カテゴリー:書籍紹介