書籍紹介 「精神科医隠された真実」 斉尾武郎 著
精神科医隠された真実
斉尾武郎 著 ISBN978-4-492-05936-4
現在、精神科と内科の外来を受けもつほか産業医・精神科顧問医としていくつかの企業で社員のメンタルヘルスを担当する著者は、内科にも外科にもありえない「おかしな薬の処方」が精神科には多すぎるという。
企業の産業医・精神科顧問医の仕事はセカンドオピニオンの場といってよく、そうした立場上、ほかの医師の書いた処方箋、診断書を目にする機会が非常に多い。それらを見るにつけ疑問に思うことも多く、疑問どころか「こんな処方ではかえって悪くなるのではないか…」とあきれ返るような処方も多い。著者のところに診断に回ってくる社員さんの8~9割は、薬物療法の基本から逸脱した不適切な処方が行われているといっても過言ではない。
また、診断自体が間違っているケースも往々にしてあり、精神科の診断は、誤差範囲が大きいですが、それでも、さすがに「これはひどい」と思うものも少なくない。例えば、単に幻聴があるだけで思考の混乱もないのに統合失調症と診断されているケース。また、うつ病で、診断も処方も間違ってはいないが、症状が改善しないときに、薬物療法の立て直しが下手なケースも、とても多い。困ったことに精神科だけは外科や内科などと事情が異なり、基本的な診断法や治療法が定まっていない。もちろん診断基準、治療ガイドラインといったものはあるが、あまり利用されていない。例えば、精神科医3人が同じ患者を診たら、ケースによっては3人とも違う診断・処方をすることも稀ではない。そのぐらいばらつきがある。
本書では、今、明らかになる精神科の実態を示し、精神科医がうつ病を治せない理由を具体的、しかも判り易く記述されています。
2012年12月27日 9:37 カテゴリー:書籍紹介