書籍紹介 「食品業界は今日も、やりたい放題」 小薮浩二郎 著
食品業界は今日も、やりたい放題
小薮浩二郎 著 ISBN978-4-88320-562-2
添加物とは、食品の製造において着色、保存などを目的として加えられるもので、通常、我々はそれ自体を食品として食べることがない物質です。添加物を使うことで見た目がよくなったり、いい匂いがしたり、消費者にとってプラスになる点も多々あります。その反面、消費者の健康に害になる面も指摘されてきました。2005年には添加物メーカーに勤務していたという安部司氏が書いた『食品の裏側』がベストセラーになり添加物害毒論が盛り上がりましたが、一方で十分な安全性試験を行っているため安全性は保証されているという立場から「添加物無害論」さらには「添加物絶賛論」まで数多く主張されています。どちらかの言い分が正しいのでしょうか。
製薬会社の研究員として、その後、食品会社の研究室において40年にわたって食品業界に身を置き、添加物についての研究を重ねた結果、著者は添加物には安全面において重大な問題があると主張します。
「食品の製造過程におけるあらゆる危害を排除しておけば、作られた食品は安全である」という考え方に則って開発されたハセップ(HACCP)という認証制度があり、大手の食品メーカーはこぞってこの認証取得しています。こうした安全管理自体はよいことですが、食の安全にとってもっと大切な本質的問題が見過ごされていると著者は指摘します。現在の法制度では、どんな不純物がどれくらい含まれているかもわからない添加物が食品に使用されている。化学合成物でありながら「食品扱い」のため表示の必要もなく使いたい放題な添加物がある。悪の脂肪酸「トランス脂肪酸」がどれだけ含まれていても問題にならない。こうした状況下では、「ハセップに基づき、品質管理・衛生管理を徹底的に行いました」といわれても消費者は安心できない。
本書は放射能よりよほど恐いこの実態について、業界内部から警告する添加物研究者による“危険論”の決定版です。
2012年9月20日 9:24 カテゴリー:書籍紹介