書籍紹介 「人は死なない」 矢作直樹 著
人は死なない
矢作直樹 著 ISBN 978-4-86238-178-1
人の一生は一瞬の夢にも似た儚く短いものです。だからこそ、人は現世に執着するのかもしれない。愛する人の死を悼み、自分の死を怖れる。その気持ちはよくわかる。しかし、摂理、霊魂の永遠に思いを重ねつつ今に没頭すれば、肉体の死を恐れることなく勇気を持って生きることができる。
人は今生を生きているうちは、生きることを懸命に考えなければならない。なぜなら、我々は摂理によって創られた自然の一部であり、摂理によって生かされているからです。従って、自分の体はまず自分自身で労わり、よりよい状態を維持するように努力しなければならない。あらゆる思索、創造する力、精神活動は、いうまでもなく体の状態と不可欠。人はみな理性と直観のバランスをとり、自分が生かされていることを謙虚に自覚し、良心に耳を傾け、足るを知り、心身を労わり、利他行をし、今を一生懸命に生きられたらと思う。
そして、「死」を冷静に見つめ穏やかな気持ちでそれを迎え「生」を全とうしたいと願う。寿命が来れば肉体は朽ちる、という意味で「人は死ぬ」が、霊魂は生き続けるという意味で「人は死なない」と著者は主張する。
本書は、生と死が行き交う日々の中で臨床医が自らの体験を通して思索した「力」と「永遠」そして人の一生を語る摂理と霊性をめぐる思索書である。
2012年8月30日 9:44 カテゴリー:書籍紹介