書籍紹介 「食の堕落と日本人」 小泉武夫 著
食の堕落と日本人
小泉武夫 ISBN978-4-492-05924-1
食の堕落が国を滅ぼす。絶望的、驚異的なスピードで変化してきた日本人の食生活。日本食の本質を忘れた日本人はどこまで堕ちるのか。本書では「味覚人飛行物体」、「発酵仮面」などの異名を持つ著者による痛快食文化論が展開されている。例えば、こんな食の乱れが日本を堕落させているとして以下の4項目をあげ、伝統的な日本食がニッポンを救うと主張する。
(1)切れる原因は食生活にあり
同じ状況におかれても、切れる人と切れない人がいる。両者はどこで分けられるのだろうか。もちろん環境ホルモンやストレスなど様々な要素はあるが、著者はその大きな原因の1つは食べ物にあると見ている。
(2)魚が焼けない団地生活
東京近郊には入居者が「魚はいっさい焼かない」という自治会の決まりを受け入れている団地があるという。焼いた魚を食べたい人は、その団地近くに車の荷台で魚を焼いてくれる魚屋がやって来るので、そこで焼いてもらう。
(3)乱れている日本人の酒文化
今日の日本酒の衰退は消費者だけでなく生産者にも責任がある。例えば、利益を上げることばかり考えている大手の酒造会社は、原料の米を半分にして酒を造っている。
(4)噛むことを忘れた日本人
今日の日本人は噛むことが非常に少なくなってしまった。そこで、子供は歯並びが悪くなったり、頭頚部の筋肉が弱く神経系の働きが悪くなり、言葉の発達や脳の発達が遅れる。大人も同様でよく噛まない人は筋肉や神経の働きが悪く病気にかかりやすくなったり不安愁訴で悩んだりする。
2012年7月12日 10:16 カテゴリー:書籍紹介