書籍紹介 「あなたの癌は、がんもどき」 近藤 誠 著
あなたの癌は、がんもどき
近藤 誠
ISBN 978-4-340-12002-4
癌の告知が当たり前になり、医者の説明にもとづく患者の自己決定が大切といわれる時代になっていますが、治療後に「こんなはずではなっかた」と悔やむ患者や家族があとを絶ちません。そうなる原因として、著者は
(1)担当医の説明不足や誘導
(2)癌や治療に対する患者側の知識不足や誤解
(3)不安や焦り
の3つをあげ、本書は(2)と(3)の解消を目指しています。
一般に、今は転移がない早期癌も放っておくと転移して治療不能になると考えられていますが、この考えを裏づける証拠やデータは存在しないと主張し、新しい考え方の要点を以下のように示しています。
すべての癌は、発見された時点で、別の臓器への転移があるかないかのどちらかです。論理的に自明のことですが、問題はその先にあり、データを検討すると臓器転移がない癌は、治療しないで放置しても転移しない。そして、著者は臓器転移のない癌は、今後も転移しないという意味をこめて「がんもどき」、臓器転移がある癌を治療しても治らないという意味で「本物のがん」と呼んでいます。
従って、もし臓器転移があるのであれば、治療してもあまり意味がないから最小限の治療(場合によっては無治療)で十分、もし臓器転移がないのであれば、今後も転移は生じないので、やはり最小限の治療もしくは無治療で十分と説く。
医学界に大論争を巻き起こした『患者よ、がんと闘うな』から15年、沈黙を破って今語られる最新臨床データにもとづく「がんもどき理論」の最終見解!!
2012年6月14日 11:15 カテゴリー:書籍紹介