書籍紹介 「長生き」が地球を滅ぼす 本川達雄 著
「長生き」が地球を滅ぼす
ISBN 4-484-06202-X
本川達雄
便利になればなるほど、ドッグイヤーと言われ、どんどんせわしなくなっていく。このとてつもなく早い時間に私たちは疲れ果てているのではないだろうか。長寿も忙しすぎる毎日もどちらも時間が関わっている問題です。時間の見方を変えることにより、これらの大問題を解決しようというのが本書のもくろみで、高齢化社会の生き方、忙しい時間とのつきあい方、時間のデザイン法を論じてあり、時間術のハウツー本と読めるようにできている。
その基礎になっているのが生物の時間で、今までにない斬新な時間論である。生物では、時間の早さはエネルギー消費量で変わり、エネルギーを使えば使うほど時間が早く進む。この新しい時間の見方を使って現代社会を眺めてみると、少子化、高齢化、エネルギー問題等々、今日の日本が抱えている問題は、すべて時間の捉え方が偏っていることに起因すると著者は主張する。
安定した食料供給、安全で清潔な都市づくり、頼れる医療、これらは莫大なエネルギーを使用することにより成り立っています。エネルギーをふんだんに使っているからこそ長寿社会が可能になっています。私たち現代人の寿命は、決して自然のままの動物としての寿命ではありません。現代文明がエネルギーを使ってつくり出した人工的な寿命なのです。従って、現代人の長寿は「不自然」であると主張しています。
2012年4月26日 9:46 カテゴリー:書籍紹介