書籍紹介「がん「エセ医療」の罠」岩澤倫彦 著
「がん「エセ医療」の罠」
岩澤倫彦 著 ISBN978-4-16-661456-1
現代医療に必須のエビデンスが存在しない自由診療のがん治療。しかし、規制する法律がないために、モラルを欠いた一部の医者が命の瀬戸際に追い詰められたがん患者を相手に荒稼ぎしている。
1.免疫細胞療法
代表格というべき自由診療で、かつては次世代のがん治療と期待され、1990年代から2000年代にかけて大学病院などで数多くの臨床試験が行われました。様々な種類があるが、基本的に患者から採取した血液の免疫細胞を増やしたり、活性化してから体内に戻す治療。結局、臨床試験で有効性が立証できず保険診療として認められていません。そしてがんには効かないというエビデンスだけが残った。
2.免疫細胞療法が効かない主な理由
(1)体内に戻した免疫細胞の寿命は短い
通常の免疫細胞の寿命はは約1週間ですが、培養して体内に戻した免疫細胞の生体内寿命は2~3日程度。しかも、がん細胞と出会った免疫細胞は、活性化誘導細胞死により、24時間以内に死滅する。
(2)培養した免疫細胞は、がん細胞にたどり着く確率が極めて低い
培養した免疫細胞はまず、肺に集まり、12時間から24時間ほど留まる。その後に大動脈を経て、ほとんど肝臓に移行して消滅する。
(3)がん細胞が免疫応答にブレーキをかける
がんを攻撃する免疫細胞の一つ「T細胞」の表面には「PD-1」という分子が存在し、これが、がん細胞が持つ「PD-L1」と結合すると、免疫応答にブレーキがかかる。これを「免疫チェックポイント」と呼びます
3.免疫細胞療法以外の主なエセ医療
話題の光免疫療法(レーザー光でがんをピンポイントで治療する)とは似て非なる「自由診療の光免疫療法」、「高濃度ビタミンC点滴」、「オゾン療法」などのエセ医療が、自由診療として堂々と行われています。これらは、本物のがん専門医なら、絶対に勧めない治療です。
そもそも、医療とは基本的に社会福祉であり、日本の公的保険制度で誰でも公平に最善の治療が受けられます。しかし、前期の自由診療は基本的にエビデンスなき医療であり、莫大な治療費に見合う効果は無きに等しい。
あなたを喰いモノにする「自由診療」免疫療法に騙されるな!!
2025年3月6日 9:04 カテゴリー:書籍紹介