書籍紹介「子どもの異変は「成長曲線」でわかる」小林正子 著
「子どもの異変は「成長曲線」でわかる」
小林正子 著 ISBN978-4-09-825451-4
子どもの発育をよく観察し、身長や体重の測定値を数値のままにしないで目に見える形にする、すなわちグラフにすれば、からだの健康状態も、心の健康状態も見えてきます。そのグラフは単に方眼紙の上に描くのではなく、子どもの発育の基準線の上に描いて「成長曲線」として表すことで、驚くほどはっきりと子どもの心身の健康状態が見えてきます。
Ⅰ 成長曲線
パーセンタイル基準線(発育基準曲線)上に、継続して個人の身長と体重の測定値を点で描きこんだものをいい、次の重要な事柄が判明します。
1.健康の確認
(1)身長と体重が基準値にだいたい沿うように推移していれば問題はありません。
(2)女子は思春期になると体重が急に増え基準線のレベルから上昇しますが問題はありません。
(3)身長と体重の両者が基準線のレベルが大きく変化しないことが重要です。
2.異常の早期発見
(1)身長あるいは体重が成長曲線の基準線から大きく上下した場合、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、脳腫瘍、摂食障害、イジメなど何らかの病気(症状)が原因で身長の高低あるいは体重の増減など発育に異常がある可能性があります。
(2)身長が低学年から急に伸びる子どもは、いわゆる「思春期早発症」が疑われ、放置すると最終的に極端な低身長になる可能性があります。
3.思春期の身長スパートの開始時期・初潮の時期の予測
(1)女子は9歳半頃から、男子は11歳前後から平均的な身長スパートが開始します。
(2)男女とも、身長スパートの開始が早い(早熟型)よりも遅い(晩熟型)方が、最終的に身長が高くなる傾向があります。
Ⅱ 身長はいつ伸びる?いつ止まる
1.身長はいつ伸びる
人生の中で身長がとりわけ伸びる時期は2度あります。
(1)生まれてからの1年間
最初の大きな伸びは生まれて1年間で、約50cm前後で生まれ、1年で約1.5倍、75cmほどになります。
(2)思春期
・女子は4年生あたりから身長がスルスル伸び、男子を追い抜きます。
・男子は女子より1年半から2年くらい遅れて伸び、女子を追い抜きます。
2.身長と体重
身長スパートは、まず足が伸び、次いで座高が伸び、最後にまた足が伸びます。
(1)女子の場合
・一般的に身長スパートより2年ほど後に体重スパートがあります。
・体重が先にスパートすると、初潮も早く到来する傾向があり、身長はあまり伸びません。
(2)男子の場合
・身長スパートが先に始まり、体重スパートはその後1年ぐらいが一般的です。
・一割弱ですが、体重が身長より先にスパートする例もあります。
3.身長はいつ止まる
男女とも18歳付近でほとんど伸びなくなり止まります。
(1)止まる時期の目安
・男子は声変わりをした後、女子は初潮が発来した後に徐々に伸びる量が減り、やがて止まります。
・但し、骨端線(骨が細胞分裂する成長軟骨層の部分)が残っていれば、さらに身長が伸びる余地はあります。
・従って、身長スパート期には骨に大きく負担のかかる運動は避けた方が良い。
(2)季節変動
・身長は夏に伸び、体重は冬に増加します。
・但し、現代は季節変動に反して、生活習慣の乱れで、夏の体重増加を繰り返し、肥満になることがあります。
「成長曲線」はすべてを教えてくれる!!
発育研究の第一人者が「早期発見」が子どもの健康を守ると警鐘を鳴らす!!
2024年2月15日 9:02 カテゴリー:書籍紹介