書籍紹介「日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた」奥田昌子 著
「日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた」
奥田昌子 著 ISBN978-4-06-527456-9
Ⅰ 病気の「なりやすさ」と病気
病気に「なりやすい」からといっても、必ずしも病気に「なる」とは限りません。
1.病気の「なりやすさ」
親から受け継いだ遺伝子のタイプと遺伝子の働く強さが、病気の「なりやすさ」を決めています。そして、病気の「なりやすさ」(体の設計図)は基本的に生涯変わりません。
2.病気
親から受け継いだ病気の「なりやすさ」に以下の2つの変異が加わることで病気になります。
(1)生後に起きる遺伝子変異
生活習慣や環境により遺伝子に傷がつき望ましくない遺伝子変異により病気になる。
この変異は一度起こると戻すことはできません。
(2)生後に起きるエピジェネティクス変異
体の設計図は変化せずに、悪い生活習慣や環境によって、遺伝子発現のスイッチがオンやオフに切り替わる変異によって病気になる。但し、この変異は生活習慣や環境の改善によりリセットできることがあります。
(3)まとめ
前記の2つの差異による遺伝子への影響度は、体の設計図が生まれながらに決定しています。つまり、「遺伝」と「生活習慣と環境」は密接不可分の関係にあります。さらに遺伝子のスイッチのオンやオフがそのまま子孫に伝わる可能性があることも明らかになっています。
Ⅱ 日本人の「遺伝子」と「体質」の特徴
主な特徴は以下の通りです。
1.酒に弱い日本人はアセトアルデヒドを分解する酵素が少ない。稲作は感染症の危険が伴うことから、アセトアルデヒドが侵入した病原体の活動を抑制し、生存に有利に働いた可能性が考えられます。
2.日本人の胃は釣り針のように曲がった形の鉤状胃なので、食物繊維の多い穀物を食べるようにできている。
3.魚を多く食べてきた日本人は悪玉コレステロールにEPAやDHAが多く含まれて、動脈硬化になりにくい。
4.白筋の弱い日本人は筋力が弱く、内蔵を支えることができません。そこで、これを補うため内臓脂肪がつきやすくなり、一見痩せていても、生活習慣病になりやすい。
5.大腸がんや生活習慣病を予防するため、腸内の善玉菌の餌となる食物繊維をもっと摂取する必要がある。
生まれ持った「遺伝的な体質」は変えられる!
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2023年12月7日 9:09 カテゴリー:書籍紹介