書籍紹介「世界で最初に飢えるのは日本」鈴木宣弘 著
「世界で最初に飢えるのは日本」
鈴木宣弘 著 ISBN978-4-06-530173-9
局地的な核戦争が勃発した場合、直接的な被爆による死者は2700万人だが、「核の冬」による食糧生産の減少と物流停止による2年後の餓死者は、食料自給率の低い日本に集中し、世界全体で2.55億人の餓死者のうち、約3割の7300万人が日本の餓死者(日本の人口の6割)と推定(米国ラトガーズ大学が昨年8月に「ネイチャー・フード」に発表)。
37%という食料自給率に種と肥料などの海外依存率を考慮すると日本の自給率は今でも10%に届かないくらいなのである。だから、核被爆ではなく、物流停止が日本を直撃し、餓死者が世界の3割にも及ぶとする推定は大げさではない。
世界を襲う「食の10大リスク」
(1)穀倉地帯を直撃した「ウクライナ戦争」
(2)国力低下の日本を直撃する「中国の爆買い」
(3)人手不足を悪化させた「コロナショック」
(4)もはや当たり前になった「異常気象」
(5)「原油価格高騰」で農家がつぶれる
(6)世界の食を牛耳る「多国籍企業」
(7)食を軽視する「経産省・財務省」
(8)「今だけ、カネだけ、自分だけ」の「新自由主義者」が農業を破壊する
(9)「農業生産の限界」が近づいている
(10)「食の安全」が蝕まれている
「お金を出せば輸入できる」ことを前提にした食料安全保障は通用しないことが明白になった今、このまま日本の農家が疲弊していき、本当に食料輸入が途絶したら国民は食べるものがなくなる。
不測の事態に国民の命を守ることが「国防」とすれば、国内の食料・農業を守ることこそが防衛の要、それこそが安全保障だ。それなのに、より自由化を進めて、貿易を増やすことが安全保障であるといった筋違いの議論が、いまだに横行している。
農業に対して断片的な支援を行うよりも、国産の農作物を増やすための、根本的な改革こそ必要なはずだ。
国民も農家とともに生産に参画し、食べて、未来につなげよう!!
2023年4月20日 9:02 カテゴリー:書籍紹介