書籍紹介「精神科医の本音」益田裕介 著
書籍紹介「精神科医の本音」
益田裕介 著 ISBN978-4-8156-1622-9
精神科・心療内科に通う事は、もはや珍しくない時代になった一方で、何かと批判を受ける「精神科医療」。その根源には「こころの病」を治療するというわかりにくさがあります。診療現場では「心の問題=脳機能の問題」と解釈して科学的にアプローチします。
1.診断・治療・処方薬にはガイドラインがあります。
精神医学も医学の仲間なので医師によって差が出る事なく、同じような診断や治療ができるように基本的なガイドラインがあります。薬の出し方もガイドラインに従って処方されます。
2.精神科医によって「診断」が変わるのは何故か?
ガイドラインがあり、されに医師による診断に誤りがなくても、診断名が変わる要因とした以下の2つが考えられます。
(1)患者さんに「症状をどこまで伝えるか?」が医師によって違う。
(2)「あとになって病気を発症した」ため、初めにはわからなかった。
3.なぜ診療時間が短いのか?
初診は30分から1時間程度で、再診は5分+αというのが、一般的な外来診療です。再診の時間が「1回につき5分ちょっと」で診療が終わる理由は以下の2つです。
(1)診療報酬制度の問題で、5分診ても29分診ても、同じ報酬で、かつ30分以上いくら時間をかけても700円しか違いません。
(2)精神科医(1万5,000人)が患者さん(400万人)に対して圧倒的に不足している。
4.精神疾患にかかりやすい特徴
遺伝、性別、家庭環境、知能などがこれまでの研究で明らかになっています。
(1)家庭の中に精神疾患患者が多い人、つまり遺伝的要因
(2)男性と女性であれば「女性の方がかかりやすい」という傾向があります。
(3)「虐待家庭で育った人」や「貧困家庭に育った人」
(4)「知的能力」の低い人
以上、いわゆる社会的な弱者の方が精神疾患になりやすい。
医療は「こころの病」を本当に治せるのか?
現役精神科医が患者の知らない裏側を明かす!
2023年2月16日 8:38 カテゴリー:書籍紹介