書籍紹介「腎臓が寿命を決める」黒尾 誠 著
書籍紹介「腎臓が寿命を決める」
黒尾 誠 著 ISBN978-4-344-98644-2
私たちが、いつも通り生命活動を行う事ができるのは「腎臓の体内恒常性を保つ管理・調整機能」が働いているお陰です。
1.腎臓の濾過機能
腎臓は血液を濾過して、体の中の「必要なもの」と「不必要なもの」を仕分け、体内の成分のバランスを調整しています。
(1)濾過機能の主役は「ネフロン」で、1本のネフロンは「糸球体」と「尿細管」で構成されています。(左右で平均200万本)
(2)糸球体は毛細管の塊で、大きなものは残し、小さなものだけを尿細管に入れて、約180Lの原尿をつくります。
(3)尿細管では、原尿中の有用成分を体に必要な分だけ再吸収して、血液中に戻します。再吸収後に残る約1.8Lが尿として排泄されます。
(4)ネフロンは加齢とともに減少し、さらに一度減ったら回復も再生もしません。そのため、ネフロンは数が減っても相当な予備を蓄えています。
2.リンが老化を加速する
(1)リンは、約80%はカルシウムと結合して骨にストックされ、残り20%は細胞膜やDNA、ATPなどに関わっています。
(2)リンが血中で多くなると、骨からリンの排泄を知らせる「FGF23」が分泌され、それが腎臓の「クロトー遺伝子」に作用して、通常は体外に尿として排泄されます。
(3)しかし、体外に排泄されないリンが多くなり、血中濃度が増すと、タンパク質と結合したリン酸カルシウムのコロイド粒子(CPP)が増え、病原体の様に「細胞毒」となり、血管、臓器、細胞が石灰化により不調や疾患が発生します(非感染性慢性炎症)。
(4)一方、余分なリンを腎臓から尿に排泄する際、リン濃度の上昇により、原尿中にCPPが発生し、尿細管のネフロンが減少します。従って、「血中リン」だけでなく「尿中リン」も問題を起こします。
3.老化加速物質のリンを体内に増やさない方策
(1)食品添加物に含まれる「無機リン」は体内吸収率90%以上なので、極力避ける。
(2)体を動かし「リンを骨に封じ込める」。流出すると「細胞毒」として作用します。
(3)リン吸着薬やCPP抑制薬を処方する。但し、前者は「高リン症」のみ、後者は「骨粗鬆症」のみ保険適用で、それ以外は適用外となっています。
45歳以上の25%はすでに危険な状態!リンは老化と寿命を左右する!
2022年7月7日 8:32 カテゴリー:書籍紹介