書籍紹介「胃は歳をとらない」三輪洋人 著
書籍紹介「胃は歳をとらない」
三輪洋人 著 ISBN978-4-08-721197-9
胃が痛い、胸やけがする、食べると重苦しい、酸っぱいものが込み上げる・・・そんな胃の症状で悩む人はとても多い。しかし実は、胃はほとんど加齢の影響を受けない臓器です。胃の不調や疲労は、胃そのものの異常によって起こるのではなく、別の原因があります。胃には、胃潰瘍や胃がん、逆流性食道炎など内視鏡検査をすれば、変化がわかる「器質的疾患」と目には変化が見えないのに臓器の働きに異常が現れる「機能的疾患」があります。現在は、後者の機能的疾患の患者さんが急増しています。
本書では、これら両疾患を総称して「胃不調」と呼び、働き過ぎ、ストレスなどによって一時的に現れる胃の不快感を「胃疲労」と呼んでいます。
それでは、加齢ではない胃の老化をもたらす原因はなんでしょうか。主犯はピロリ菌、共犯が自律神経で、これらに負担を与えて悪影響を及ぼすのが食生活(質と量とタイミング)です。ピロリ菌が発見される以前(約40年前)は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの原因はストレスや生活習慣病とされていました。ピロリ菌がいると自覚はなくてもほぼ100%胃に炎症が生じ、数年すると胃酸を分泌する細胞を破壊し、胃の粘膜が徐々に薄くなり自覚症状のない「萎縮性胃炎」が発生し次に腸上皮化が生じて胃がんの前触れとなります。但し、ピロリ菌を除菌すると、胃酸が活発に分泌され、逆流性食道炎が発症する事があります。
一方、共犯の自律神経のバランスの乱れが原因で、「機能性ディスペプシア」を発症します。ディスペプシアとは、英語で「消化不良」を意味し、医学用語としては、「みぞおちを中心とした症状」として用いられ、機能性ディスペプシアとは「胃の働きが悪くて症状が出ている病気」を意味する病名となります。改善策としてはリラックスやストレスの解消がカギとなります。
消化器内科の権威が「胃不調」と「胃疲労」の謎を解明!!
2022年6月2日 8:50 カテゴリー:書籍紹介