書籍紹介 「長生きしたい人は歯周病を治しなさい 」天野敦雄 著
「書籍紹介」長生きしたい人は歯周病を治しなさい
天野敦雄 著 ISBN978-4-16-661329-8
1.歯周病菌の感染と歯周病の発症
(1)唾液で感染し、発症のきっかけは「歯のみがき残し」による生きた細菌の集合体のプラーク(バイオフィルム)の形成。
(2)「歯肉炎」(歯ぐきの炎症)ならば、しっかり歯みがきをすれば治るが、歯周組織まで炎症が広がる「歯周炎」(歯周ポケットの炎症)になると歯根を支える骨が溶けて歯が抜け落ちる。
(3)疲労やストレスで歯周病は悪化するが、最も悪いのは喫煙と口呼吸。
(4)歯周病は一度なると、自然に治る事は絶対にない。一生メンテナンス(歯みがき、歯科衛生士、歯科医によるチェックと対処)が必要。
(5)歯周病は口の中の細菌(善玉、悪玉、日和見)バランス(2:1:7)が崩れ、日和見菌が悪玉菌に加担する事で発症する。
(6)歯周病菌は10種類以上存在し、その中でも最も悪性度の高いジンジバリス菌、フォーサイシア菌、デンティコラ菌は王者で3つまとめて「レッドコンプレックス」といいます。また、このレッドコンプレックスに環境が変化する事を「マイクロバイアルシフト」といいます。
2.歯周病菌のしたたかさ
(1)歯周病菌は完全に排除できない(3つの理由)
①滅菌も殺菌も不可能であり、せいぜい除菌(消毒)しかできない。
②プラークは全体がフィルム状の膜を形成し、これが免疫の攻撃の邪魔をする。さらに、抗生物質は一時的に休眠している菌には効かない。
③菌は歯ぐきやほっぺたの細胞や血中に入り、血管の細胞にも入る。
(2)歯周病菌の栄養源は歯ぐきや血中のタンパク質と鉄分。性質は嫌気性でアルカリ性を好む。
(3)歯周病菌は食料がなくても仲間と栄養を補い合う「栄養共生」システムをもっている。
3.歯周病菌が血中に入る事で発症するメカニズムと具体的な病気
(1)発症メカニズムは ①菌血症 ②菌と共に炎症性サイトカインが血中に入る ③菌が腸内に入り腸内細菌叢が変化し、腸のバリア機能の低下により様々な臓器に炎症が起きる。
(2)菌が関係する主な病気は ①心筋梗塞・脳卒中 ②動脈硬化 ③肥満・メタボリックシンドローム ④糖尿病 ⑤早産・異常出産 ⑥誤嚥性肺炎 ⑦関節リウマチ ⑧骨粗しょう症
口中の悪玉菌は全身に広がる!!
2022年3月24日 8:48 カテゴリー:書籍紹介