書籍紹介「ダイエットしたら太ります」永田利彦 著
書籍紹介「ダイエットしたら太ります」
永田利彦 著 ISBN978-4-334-04553-1
医学的には、ダイエットとは、「体重を低下させようとして、意識的にカロリー摂取量を減らそうと、試みること」と、多くの場合定義されていますが、ほとんどの場合、ダイエットは成功しません。
どうしたって、ダイエットには「ダイエットすると太る」という“不都合な真実”があるからです。過去にダイエットをした事がある人は、一時的にダイエットに成功しても、やがてリバウンドする事を、経験からご存じでしょう。そしてか「リバウンドしたのは意志が弱かったからで、次こそは絶対に成功する!」と決意を新たに、またダイエットにチャレンジします。ところが、やはりうまくいきません。なぜならば、その時体に起こった変化は、ただ体重が増えただけではないからです。実は「ダイエットすると太る」というパラドックスは(1)食欲のコントロールができなくなる事と、(2)太りやすい体質になる事に原因があります。
(1)食欲のコントロールができなくなる
空腹感と満腹感、あるいは摂取行動の抑制には、胃から分泌されるグレリン、脂肪細胞から分泌されるレプチン、膵臓から分泌されるインスリンの3者が大きな役割を果たしています。しかし、その仕組みが非常に精緻で危うい均衡の上に成り立っています。
①グレリンは、実際に空腹かどうかでなく、毎日の食事のタイミングに合わせて分泌量が増減し、そのリズムは脳に刻まれています。従って、ダイエットなど不規則な食生活を送っているとグレリンの分泌パターンが乱れます。
②レプチンは、満腹感をもたらしますが、肥満するとレプチン抵抗性により、太れば太るほど食欲を抑えられず、脂肪を燃やせなくなります。一方、痩せて脂肪組織が少なくなると、脂肪組織が消失した「脂肪萎縮症」になります。
③インスリンは血糖値を下げる唯一の物質ですが、肥満が進むとインスリン抵抗性になり、血糖値が下がりにくくなります。
(2)太りやすい体質になる
ダイエットとは飢餓状態であり、エネルギーを溜め込みやすい体になり、さらに筋肉量が減り、基礎代謝量が低下し、エネルギーを消費しにくい体になります。
摂食障害が専門の精神科医が、過剰な「やせ礼賛」文化を理詰めで斬る!!
2022年2月17日 8:44 カテゴリー:書籍紹介