書籍紹介「残酷な進化論」更科 功 著
残酷な進化論
更科 功 著 ISBN978-4-14-088604-5
地球には様々な生物がいる。その中で、現在ヒトという類人猿の1種が大繁栄をしている。でもそれは、たまたま現在の地球で繁栄しているということであって、別の場所や時代に行ったら、どうなるかはわからない。いや、100年後ですら、どうなっているかわからないだろう。
私たちヒトは進化の頂点でもないし、進化の終着点でもない。私たちは進化の途中にいるだけで、その意味では他の全ての生物と変わらない。それに、いくら進化したって、環境にぴったりと適応する境地には辿り着けない。そのことは、ある場所に昔から住んで適応している種を、しばしば外来種が簡単に駆逐してしまうことからも明らかだ。環境に「完全」に適応した生物というのは、理想というか空想の産物であって、そんな生物はいない。あくまでも生物は(もちろん私たちヒトも)「不完全」な存在なのだ。
私たちはヒトという種を特別視する傾向があるけれど、それはおそらく脳が大きいからだろう。しかし、約4万年前に絶滅するまではネアンデルタール人の方が私たちより脳が大きかったわけだし、そもそも、脳が大きい事がいい事か悪い事かも微妙である。ヒトはどんどん進化しているけれど、進化というのは単に変化することであって、よくなる事も悪くなる事もある。
また、生きる事も崇高な目的があるわけではなく、生物にとっては生きる事自体が目的であって、それは大腸菌も同じである。つまり、ヒトって、大した事はないのだ。オンリー・ワンであるけれどもナンバー・ワンではないのだ。ヒトという種が偉い思っている人には、ある意味進化というのは残酷なものかもしれない。だって、ヒトを特別扱いしてくれないから。
・ヒトは、心臓病・腰痛・難産になるように進化した。
・ヒトは、腸内細菌の力を借りなければ、食事も1人でできない。
・人類よりも優れた内臓や器官を持った生物は山ほどいる。
最新の研究を明らかにする、人体進化の不都合な真実!!
2020年9月17日 8:42 カテゴリー:書籍紹介