書籍紹介「日本人の病気と食の歴史」奥田昌子 著
日本人の病気と食の歴史
奥田昌子 著 ISBN978-4-584-12588-5
食生活や心のありようを含む生活習慣を正さない限り病気の根は残ります。本書は以下の様に縄文時代に始まり、時代を追って進んでいきます。
第1章 医術もまじないも「科学」だった(縄文時代から平安時代)
木の実を主食にクルミ・魚・貝も米も食べていた縄文時代。米などの穀物が主食となった弥生時代。肉食をやめ、牛乳を飲んでいた奈良の貴族たち。肉食禁止令を厳守したために見た目に反して不健康な食事の平安時代。縄文人の寄生虫感染、弥生人の結核、古墳時代の伝染病(病名不明)、奈良時代の天然痘、マラリア感染と脚気、平安貴族の糖尿病。平安時代には薬草の投与・鍼・灸なども使用したか、まじないも行う。
第2章 食べて健康になる思想の広がり(鎌倉時代から安土桃山時代①)
鎌倉時代から室町時代にかけて一日三食の習慣が広がる。同時に和食の基礎が定まる。
第3章 天下取りの鍵は健康維持(鎌倉時代から安土桃山時代②)
味噌と醤油がほぼ完成し、魚から動物性タンパク質、大豆と穀物から植物性タンパク質を摂取。安土桃山時代には食が多様化し、生を完成するために食養生を実践。南蛮から梅毒が入り、脳卒中も発生。
第4章 太平の世に食養生が花開く(江戸時代)
白米を食べすぎ、室町時代に減った脚気、インフルエンザ及び最大の死因の一つとなる天然痘が増加。一方、社会が安定し、生活に余裕が生まれ、人々の関心は健康維持に向かう。
第5章 和食を科学する時代が始まる(明治時代・大正時代)
肉を食べるようになった明治時代。食が多様化し、ちゃぶ台が登場する大正時代。江戸時代の中後期に始まった西洋医学に明治政府は舵を切る。
第6章 和食の“改善”が新しい病気をもたらす(昭和時代から現代)
三種の神器やプロパンガスや都市ガスの普及で食事内容や食べ方も変化。肉や牛乳の定着により脳梗塞、糖尿病、大腸がん、乳がんの発症と死亡率の増加。
日本人を長寿にした「和食道」1万年と忘れてはならない「養生の知恵」!!
2020年3月5日 8:42 カテゴリー:書籍紹介