書籍紹介「からだとこころの健康学 」稲葉俊郎 著
からだとこころの健康学
稲葉俊郎 著 ISBN978-4-14-407250-5
実は「病原」は定義しやすいのですが、「健康」を定義することは極めて難しいのです。世界中の人々の健康を守る目的で設立された世界保健機関(WHO)は「健康」を次のように定義しています。
「健康とは、病原でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」
この例からもわかるように「健康」の定義には客観的かつ普遍的な一律の基準がなく、むしろその人自身が感じる主観的な感受性こそが大切なのです。
西洋医学での「健康」とは「病原でない」ことを指し、異常をわかりやすくするために「正常値」「基準値」を設定し、病名をつけることからスタートします。一方、東洋医学を含めた伝統医学では病名よりも「からだ」「こころ」に起きている症状を大切にします。つまり、西洋医学では「因果論」が、伝統医学では「目的論」が根底にあると言えます。
私たちが「健康学」を考えるとき「あたま・からだ・こころ」という三つの関係について知っておくべきことがあります。それは「あたま」は嘘をつけますが「からだ・こころ」は嘘をつかない、つまり嘘という概念がないことです。「あたま」は「しなければならない」「気のせいだ」という声を発信し「からだ・こころ」が本当に求めているものを封殺します。従って「健康」にとって重要なのは、短期的な結果を重視する「あたま」の声に押され続けることなく、長期的な展望を持つ「からだ・こころ」へと判断を委ね、実際に「からだ」を動かすことが大事です。そして、「自力」での治癒が限界と知ったときは「他力」つまり、西洋医学に頼ればいいのです。
健康は自分を知ることから始まる。健康を再定義せよ!!
2020年1月9日 8:58 カテゴリー:書籍紹介