書籍紹介「老化と脳科学 」山本啓一 著
老化と脳科学
山本啓一 著 ISBN978-4-7976-8042-3
超高齢化社会を迎えた今、老化研究はどこまで進んでいるのか?老化による脳の衰えや病気(記憶力の低下、認知症、睡眠障害など)を遅らせることができるのか?
本書は、細胞生物学者である著者が、海外の一流学術誌『ネイチャー』や『セル』などから老化研究の最先端情報を吟味し「脳を老けさせないため」に、いったい何が有効なのかを紹介しています。
脳の海馬神経細胞は歳をとっても増殖しますが、神経細胞間の接続(シナプス)が減少します。シナプスが減少するということはネットワークの更新がおこなえなくなるだけでなく、これまで作りあげたネットワークが壊れていくことを意味します。高齢になると新しいことを覚えられなくなるだけでなく、記憶の呼び起こしもうまくいかなくなる、すなわちボケるのですが、その原因はシナプスの減少なのです。さらに歳をとると海馬の神経細胞が老化し、ネットワークの崩壊も著しくなり認知症となります。また、物忘れの原因もシナプスにおける伝達性能の劣化だと考えられ、記憶がなくなったのではなく、そこへ到達する経路に問題が生じ、記憶していたことを意識の上に引き出すことができなくなった状態です。従って、常に脳を使って衰えさせないように、運動や人付合い、カロリー制限などを行うべきです。
さらに、細胞の老化を防ぐための食事とは「全カロリーの50%は炭水化物で摂り、肉より魚を多めにしてタンパク質を十分摂り、できるだけ植物油を使い、野菜、キノコ、海藻など食物繊維を多く含むものを食べる。そして、果物は毎食欠かさないことです。大事なのは、このバランスを維持して腹八分目に食べることです。コーヒーや緑茶は適度に飲んだ方が良いでしょうが、お酒はできることならやめましょう。
なぜ老いる?なぜボケる?
2019年12月19日 8:59 カテゴリー:書籍紹介