書籍紹介「知ってはいけない薬のカラクリ」 谷本哲也 著
知ってはいけない薬のカラクリ
谷本哲也 著 ISBN978-4-09-825344-9
実は製薬会社が一般の患者に向けて処方薬の宣伝を直接行うことは、政府により禁じられています。
処方薬は、正式には医療用医薬品と呼ばれます。医療用医薬品は、薬として効き目が強い反面、副作用にも注意が必要です。そのため、医者が診察した上で、数ある薬の中からどれがいいのか選ぶ必要があるということになっています。
つまり、処方薬選びは、医者の裁量が大きく、仕組み上、製薬会社の取引相手は患者ではなく、医者になっているわけです。そこで、処方薬を売る製薬会社は潤沢な資金力を使って、患者の目に触れないところで、医者向けにさかんに宣伝活動を行っています。それを象徴的に示しているのが、新薬の説明会で製薬会社が医者に無料で配る「高級弁当」です。しかし、薬の宣伝のために、考えられないくらいもっと大きなお金が動いています。多くの医師を集めてしばしば新薬の治療成績について説明が行われますが、大学教授がその新薬の“広告塔”となり、多額の謝礼金が支払われています。さらに、驚くべきことに製薬会社から薬価の算定委員にも多額の謝礼金が提供されていることも分かりました。
このような「白い巨塔の金脈」を明らかにしようと取り組んでいるのが、本書で紹介されているマネーデータベース「製薬会社と医師」プロジェクトです。探査ジャーナリズム活動を行う「ワセダクロニクル」と「医療ガバナンス研究所」に関係する著者たち医師グループにより製薬会社から医者個人へ流れるお金を調査報道によって明らかにし、分析を加え、日本初のデータベースをインターネット上で公開されています。
本書ではマネーデータベース「製薬会社と医師」プロジェクトから分かった知見を紹介するととともに、あなたの代わりに医者が薬を選ぶ背景について、つまり医者が処方薬を選ぶまでの裏側を分かりやすく解説しています。
現役医師が勇気をもって明かす“不都合な真実”
2019年9月19日 8:41 カテゴリー:書籍紹介