書籍紹介「老いと記憶」増本康平 著

老いと記憶
増本康平 著 ISBN978-4-12-102521-0

加齢が脳に及ぼす影響で不思議なのは、年齢とともに脳全体に均質に変化がみられるわけではない事です。顕著に萎縮する場所とそれほど萎縮しない場所が存在します。

前頭前野の体積が加齢とともに最も萎縮し、次いで、海馬を含む側頭葉、頭頂葉、後頭葉の順に萎縮がみられます。加齢にともなう脳の変化には、このような神経細胞の減少にともなう萎縮と、もう一つ、シナプスの密度の低下があります。シナプスの密度の変化は特に前頭葉で顕著です。シナプスの密度の減少と認知機能低下は同時期に生じることから、神経細胞そのものの減少よりも、神経細胞間のネットワークの減少が認知機能の低下の原因であることが指摘されています。

なお、加齢とともに衰える記憶機能は二つです。一つは、短期記憶の「ワーキングメモリ」と呼ばれる複雑な思考や並列的な作業を担う記憶です。もう一つは長期記憶の「エピソード記憶」と呼ばれる過去に出来事の記憶です。但し、エピソード記憶の低下は全てのエピソードにみられるわけではなく、5年以内の比較的最近の出来事で顕著にみられます。

一方、私たちが経験したことを記憶し、それを思い出すためには、経験を情報として頭に入力し(符号化)、その情報を保持して(貯蔵)、保持した情報から必要な情報を思い出す(検索)という3つのプロセスを経る必要があります。年をとると特に低下するのは、情報の入力と検索のプロセスです。その理由は、加齢にともなう萎縮が顕著な前頭前野が、その両者のプロセスを担っているためです。

以上のような背景を前提として、本書は、高齢者心理学の立場から、若年者と高齢者の記憶の違いや、認知機能の変化など、老化の実態を解説。気分や運動、コミュニケーションなどが記憶に与える影響にも触れ、人間の生涯で記憶の持つ意味をも問うています。

加齢をネガティブに捉えず、老いを前向きに受け入れるヒントが見えてくる!!

2019年5月23日 8:47  カテゴリー:書籍紹介

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