書籍紹介「自分が高齢になるということ」和田秀樹 著
自分が高齢になるということ
和田秀樹 著 ISBN978-4-86081-572-1
肉体的な衰えは、ウォーキングやジムに通ったり、あるいは日常生活の中に少しでも身体を動かすことを取り入ることにより、ある程度、意識的に遅らせることができます。
しかし、頭脳の衰えは意識すれば食い止めることができるかどうかはわかりません。ところが、高齢になるにしたがって、どんな人にも予測のできない状態が訪れる可能性があり、しかもその可能性は、高齢になればなるほど高まってきます。脳の変化とそれに伴う様々な変化です。
だれもが真っ先に思い浮かべるのが認知症でしょう。85歳という年齢を過ぎれば40%(55.5%という統計もある)程度の人に認知症の症状が現れます。だとすると、ボケることを前提にして、幸せなボケ、ボケてもいいから幸せな老人を目指したほうが、ゆったりとした気持ちで生きられるし、それによって長生きもできるはずです。
そこで、本書には、朗らかなボケ、穏やかなボケを目指すためにどうすればいいのかという視点で、高齢者専門の精神医学を学び、実践してきた著者が気づいたこと、考えていることがざっくばらんに書かれています。
ボケれば「嫌なこと」「つまらないこと」を忘れることができ、自責感からも解放され「わたしのせい」という周囲への心苦しさをあまり意識することはなくなります。また、ボケはゆっくりと進み、脳にはまだ活用できる機能が残されているので早期に適切な治療を受ければ、その進行をある程度遅らせることもできますから、たとえ認知症とわかってもいままでと通りにできることはいくらでもあります。そして、愛されるボケには周囲の人を幸せにする力があります。
老いて幸せなら人生それでよし!!
2019年5月9日 8:48 カテゴリー:書籍紹介