書籍紹介「発達障害」 本田秀夫 著
発達障害
本田秀夫 著 ISBN978-4-7973-9832-8
本書は「発達障害とはなにか」「発達障害の人が、ほかの多数の人と違うのは、どんな点にあるのか」を解説しています。
発達障害には自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの種類がありますが、実はそれらの種類のいくつかが重複している人が多くいます。そして、そうした重複例はかなり多いにもかかわらず、適切に理解され、対応されていないケースがよくみられます。
ASDには「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴、ADHDには「うっかりミスが多い」「落ち着きがない」特徴、さらにLDには「読み・書き・計算が苦手」という特徴があります。例えば「こだわりが強いこと」と「落ち着きないこと」は、一見するとまじりあわない特徴のように思われますが、それらが重複して現れるケースがめずらしくありません。そして、一見正反対の特徴のため、それらが重複すると複雑な現れ方をして、十分に理解されなくなってしまいます。こういった発達障害の重複をくわしく知っておくと、発達障害の人の行動や心理がより正確に、よりくわしくみえてきます。
また、発達障害は、なんらかの機能が劣っているのではありません。病気というよりも「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立ちます。「選好性」とは「~よりも~を優先する」という心の志向性です。例えば「対人関係よりもこだわりを優先する」「じっとしていることは苦手だが、思い立ったらすぐに行動に移せる」・・・そんな視点から発達障害を理解し、無理に「ふつう」に合わせなければ、生活の支障が起こりにくくなります。少数派には少数派の生き方があり、そのことを少数派の人にも、多数派の人にも伝えるのが本書の趣旨です。
臨床経験30年以上の医師が送る
「発達障害」理解の決定版!!
2019年4月11日 8:59 カテゴリー:書籍紹介