書籍紹介「100年を生きる心臓との付き合い方」 天野 篤 著
100年を生きる心臓との付き合い方
天野 篤 著 ISBN978-4-86008-783-8
心臓手術の“入り口”は、実際に手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科(または循環器科)になります。「ひょっとしたら心臓病かもしれない」というとき、患者さんはまず循環器内科で検査を受け、診断や治療が行われます。循環器内科が行う治療は、薬物治療、カテーテル治療、ペースメーカーの植え込みなどの処置で、手術は心臓外科が行います。
手術が必要になる心臓病は大きく分けて5つあります。
①虚血性心疾患 ②弁膜症 ③大動脈疾患 ④心臓腫瘍 ⑤先天性心疾患
なかでも患者さんが多いのは①の虚血性心疾患で狭心症や心筋梗塞が該当します。心臓の表面を走る太い血管である冠動脈が細くなったり詰まったりし、心筋に酸素や栄養素を送るための血液が十分に行き渡らなくなることで起こります。そのための外科的治療のおおきな柱になっているのが、冠動脈バイパス手術です。
全ての手術では患者さんの負担を最小限にするため、以下の3点がポイントになります。
①「はやい」:手術をベストなタイミングで行い、手術時間もできるだけ短くする
②「うまい」:的確な手技により合併症もなく、うまい具合に改善する
③「安い」:①及び②の結果、医療費も安くなる
従って、できるだけ人工心肺装置は使用しない(オフポンプ術)。仮に使用しても3時間以内にすること。また、弁膜症では、弁置換術(人工弁)よりも弁形成術を可能な限り行う。なお、心臓病は早期に対処すれば、元どおりの生活を戻せる病気ですので、次の典型的な初期症状があれば、早く病院に行くことです。
①胸痛 ②動悸や脈拍の異常 ③息切れや呼吸困難 ④むくみ ⑤めまい ⑥一時的失神
なかでも虚血性心疾患の典型的な症状は激しい胸痛が起こります。
110歳までトラブルのない心臓を目指す!!
外科医の原点は創傷治癒。そこに全ての規範がある。
2019年2月21日 10:37 カテゴリー:書籍紹介