書籍紹介「患者の心がけ」 酒向正春 著
患者の心がけ
酒向正春 著 ISBN978-4-334-04335-3
日本の医療体制は、2000年から大きく変化しています。それは、回復期リハビリテーション医療と呼ばれる制度が新しくできたことによるものです。
一体、何がどう変わったのでしょうか。
まず、病院は急性期、回復期、慢性期の大きく3つのカテゴリーに分けられることになりました。その真ん中の回復期に、患者さんの1日も早い在宅復帰、社会復帰を支援するリハビリテーション(以下、リハビリ)を集中的に行うため回復期リハビリ病院ができたのです。
ある人が脳梗塞で倒れ、救急車で運ばれたとしましょう。手術をするために入院するのは、急性期病院。その後、リハビリのために入院するのが、リハビリ病院。そして、退院して家から通うのが慢性期病院です。しかし、現在は、急性期病院にいられるのは2週間以内という期限が目安になっています。そして、その後リハビリが必要になったときにリハビリ病院に入院できる期間は病名に応じて発症後1~2ヶ月以内でリハビリ病院には6ヶ月以上はいられない事になっています。
本書は、脳外科医で現在は脳リハビリ医である著者が、リハビリを軸に、患者さんとその家族の病院との関わり方、チーム医療の価値とホスピタリティの大切さを述べています。まず、心がけの良い患者さんの方が治る可能性が高いため、次の3つの心がけの大切さを示しています。
(1)患者さん自身が「回復したい」という意思を明確に持つこと
(2)担当の医師を信頼すること
(3)本人だけでなく家族にも(1)(2)が必須であること
チーム医療でのポイントは、多くの職種の医療スタッフがいる中で、患者さんに何が必要で、人材をどのように配置すればうまく行くかを医師が調整すること。さらに、高いホスピタリティの実現のためには、入院前面接を行い、患者さんと家族がどのような方なのか、ということを注意深く確認することが重要であると述べています。
良い医療、良い治療を見分けるには?多くの患者さんに奇跡をもたらした脳リハビリ医が語る、医療の真髄と回復への近道!!
2019年1月24日 8:28 カテゴリー:書籍紹介