書籍紹介「病院のやめどき」和田秀樹 著
病院のやめどき和田秀樹 著 ISBN978-4-02-273776-2
医学的な治療は治療の効果が本当にあるのかどうかを検証した「エビデンス」(科学的根拠)を基準に行われます。薬を投与すれば、検査の数値は変わります。薬の成分が体内で化学反応を起こすので、血圧や血糖値、コレステロール値が変動します。
しかし、数値を操作するだけでは意味がありません。なんのために数値を下げるのか、それは患者さんが快適に毎日の生活を送り、将来にかかるかもしれない重大な病気を予防するためです。そのためには、薬によって数値が下がるというエビデンスだけでは不十分なわけです。5年後や10年後など将来にわたって、本当に予防すべき病気(ex.脳卒中、糖尿病)にならなかったのかというエビデンスが必要となります。
この考えをもとにしているのがEBM(根拠に基づいた医療)です。しかし、日本では日本人を対象にした大規模調査を行い、エビデンスを得た薬がほとんどありません。さらに、日本の医療の問題点として、過剰な検診や集団検診があり、そのほかにも臨床の現場をあまりにも軽視し、研究を偏重していることもあります。また、心の問題をケアできる医師もほとんどいませんし、栄養学についての知識もありません。
従って、自分でしっかりと情報収集していないと、自己決定も出来ず、医者の言葉を盲信せざるを得なくなり、医者の「信者」になってしまいます。
「快適に生きる権利」を無視する病院。ひたすら病人を増やす検診。「薬を飲まない」「節制しない」は案外正しい!本書は「後悔しない治療」の方策を大胆に提言しています。
それでも病院通いを続けますか!?
2018年12月20日 9:25 カテゴリー:書籍紹介