書籍紹介 「認知症」 伊東大介 著
認知症
伊東大介 著 ISBN978-4-06-29153-7
認知症の大半はもの忘れが始まりで、5~10年かけて進行し10年以内に認知症に進んでしまいます。10年ほど前から話題になっている軽度認知障害は認知症の一歩手前の状態、いわゆる「認知症予備軍」のことを言います。同年代の人よりももの忘れが著しいが、まだトラブルを起こすほどではない状態です。この状態から5年以内に半分の人が本当の認知症に進行することもわかってきました。
また、最近では認知症になる15~20年前から脳の異常(ゴミの脳内蓄積)が先行していることもわかってきました。ほとんどの認知症は65歳以上の高齢者に発症しますので、認知症の原因であるこのゴミの蓄積は働き盛りの40代、50代から始まっている人もいるのです。こういった人はまだもの忘れは目立ちませんが、ゴミの蓄積が始まっていて、いわば「認知症予備軍の予備軍」ということになります。
最近になり、この状態はもの忘れが出る前のアルツハイマー症という意味で「プレクリニカル・アルツハイマー病(本書ではプレクリニカル認知症)」と呼ばれ認知症を代表するアルツハイマー病の予防対象として注目されています。
これまで認知症予備軍のうちに生活習慣の改善などを行って対応すれば、認知症は防げるし、軽度認知障害は改善すると言われていました。しかし、最近の研究では、認知症予防は経度認知障害になってからではなかなか難しく、プレクリニカル認知症の段階で行うことが重要と考えられるようになりました。そして、さらに効果的なのは、プレクリニカル認知症になる前の段階、脳のゴミがたまっていない40代から始めることと考えられるようになっています。
本書では、医学的に認められていること、効果か科学的に証明されている予防法や治療、最近情報ができるだけわかりやすく紹介されています。
専門医が教える最近事情!!
2018年4月19日 8:35 カテゴリー:書籍紹介