書籍紹介「あなたが信じてきた医療は本当ですか?」 田中 佳 著
あなたが信じてきた医療は本当ですか?
田中 佳 著 ISBN978-4-566-05180-5
皆さんの中にも医療に対してうっすら疑問を感じていたり、受けた医療でこんなはずではなかったと思ったり、自分の想いが主治医に届かなかったり、そんな経験をしたことはありませんか?この原因の一つとして、相互理解の不完全さがあるのです。医学界の概念と、世間の皆さんが思う医療の概念との間には大きな隔たりがあり、誤解が生じています。
本書の前半はその誤解を解消するため、かつて脳神経外科医として勤務していた著者の視点を通して、現場の人間だからこそ、知りうることを明らかにしようとしています。
例えば
(1)医学には根治という概念がない
実は、医者と皆さんでは「治る」の意味が違います。医者は症状が消えるという意味、患者さんは病気が消えるという意味
(2)医学島という島がある
医学の島に住む島民(医者)には、島の中だけで通じる概念があり、皆さんの概念とは異なるという認識が必要です。医者の興味は病気で、患者さん興味は人生(生活の質)です。
(3)薬剤にも根治という概念はない
難病によく使用される「ステロイドと免疫抑制剤」。「ステロイドが処方された=不治の病」という認識が必要で、医学的にはステロイドで治る病気はありません。良くなったというのは錯覚です。また、免疫抑制剤は異常な免疫のみならず全ての免疫を抑制するので、AIDS(エイズ)に近づくようなものです。
一方、本書の後半は「未来の医療には、もっと多様性と自由があるべきである」という著者の願いが示されています。
そして、本書全体での最大のポイントは、医療とは自然治癒力を取り戻すための補助にすぎないという事実をきっちり理解することです。
医者は自分を、見て、観て、診てくれていますか?
2018年2月1日 8:59 カテゴリー:書籍紹介