書籍紹介「がんで死ぬ県、死なない県」松田智大 著
がんで死ぬ県、死なない県
松田智大 著 ISBN978-4-14-088507-9
いまや、日本人の二人に一人はがんにかかる時代です。では、その罹患や死亡の実態に「地域差」があることは、どこまで知られているのでしょうか。
著者が所属する国立がん研究センターでは、都道府県が実施する「地域がん登録」のデータをもとに、部位ごとの罹患率や死亡率を公表しています。2016年に公表したデータ(2012年調査)では、初めて47都道府県のデータが出揃い、これにより様々な比較が可能になりました。
この調査が画期的なのは、都道府県によって罹患しやすいがんが異なること、また罹患後の死亡率にも罹患のしやすさとは異なる地域差があることを明らかにした点です。
たとえば、東北地方の日本海側では胃がんの罹患リスクが高く、西日本では広く肝がんが見られます。より細かく見ていけば、東京都は乳がんのリスクが突出して高く、北海道では肺がんが多いと言えます。なぜ、こうした地域差が生じるのでしょうか。あるいは、青森県や大阪府ではがんにかかった後に治療の甲斐なく死亡してしまうリスクが他県より高いことが明らかになりました。長野県のようにがんの死亡率を低く抑えることができている県とは、いったい何が違うのでしょうか。
日本の国土はそう広くありませんが、地域によって食文化やライフスタイルは異なり、結果として罹患傾向に差が生まれます。また、診断と治療がスムーズに結ばれているか否かで死亡率に差が生じています。
本書の目的は、がんの「かかりやすさ」や「亡くなりやすさ」を都道府県ごとに概観することで、国、行政、私たち一人ひとりにとっての課題を浮き彫りにすることです。
国立がん研究センターの調査で全都道府県の特徴を徹底解明!
統計が明かす冷酷すぎる現実。
2017年2月16日 8:48 カテゴリー:書籍紹介