書籍紹介「だから医者は薬を飲まない」 和田秀樹 著
だから医者は薬を飲まない
和田秀樹 著 ISBN978-4-7973-8459-8
「薬漬け医療」の裏側で、患者には薬を出しても、自分では飲まない医者の存在がある、これは「薬は毒だから」「処方するだけ儲かる」といったことだけで語られがちである。だが本当は、臨床・研究・教育を司る医学部、検査基準を作る厚生労働省、新薬を開発する製薬会社などがそうさせているのだ。
患者さんが病院に行って検査を受け、検査データが正常値から外れていると、それを戻そうと考えるのが現代の医者であり、そういう教育をしてきたのが大学の医学部なのだ。
「体がだるいのを治してくれ」「気分が悪いのを良くしてくれ」「体が重いのを軽くしてくれ」という注文よりは、薬を使って正常値に戻すほうがはるかに簡単です。化学反応なので、わりとわかりやすいわけです。
しかし、正常値にすれば健康になるなかということについては、長期的なエビデンスがないのでよくわかってないのです。本来であれば正常値に戻すことが健康や寿命にどのように影響を与えるのか、それを長期的に調べてはっきりしたデータを出さなければ、正常値に戻す医療がはたして適切か否かわからないはずです。
そのデータを集めて研究するのが国から研究費をもらっている大学病院の医者たちの役目なのですが、その役目を彼らは果たしていないのです。その背景には学会ボスと製薬会社の癒着や、さらには学会ボスの意向に逆らうと医療政策ができないと信じている愚かな役人の存在もあります。ある政策を推進するためには審議会という専門家や民間人の代表の意見を聞く会で審議しないといけないのですが、その委員を務めるのが臨床ができる人より学会ボスを使うのが通例です。そこで「健康な人まで病人にされ薬漬けにされる医療」が永遠と続く。
医学部と製薬会社のための“正常値”が病人を増やす医療の大罪!!
2016年4月7日 8:48 カテゴリー:書籍紹介