書籍紹介 「腸を鍛える」 光岡知足 著
腸を鍛える
光岡知足 著 ISBN978-4-396-11438-1
腸のなかには300~500種類・100兆個、重さに換算すると60kgの体重の人で1~1.5kgもの腸内細菌が棲みつき、それらが花畑のように敷き詰められた腸内フローラを形成しています。これほど多くの菌が棲みついているのは大腸に運ばれてきた未消化の栄養素をエサにしているためです。
一般に善玉菌と悪玉菌および日和見菌に分類されますが、主役の善玉菌と悪玉菌の性質を簡単にまとめると次のようになります。
善玉菌:糖質をエサにして増殖し発酵をうながす。
悪玉菌:タンパク質をエサにして増殖し腐敗をうながす。
従って、食生活が乱れ、タンパク質を過剰摂取する状況が続くと、腸内腐敗に加担することになります。気をつけなければならないのは、糖質は摂取法をまちがえると血糖値を上げてしまうリスクがあり、また、タンパク質の過少摂取が続くと筋肉やホルモンの生成に問題が生じます。栄養バランスが大事だという話はよく耳にしますが、本当に大事なのは腸内細菌のバランスです。それでは腸内細菌のバランスの目安はどうすればよいのでしょうか?
その目安は全体の割合で言えば、善玉菌が2割、悪玉菌が1割そして日和見菌が7割で著者は「2:1:7の法則」と呼んでいます。
NHKスペシャルでの放映以来、耳目を集めていますが、不確かな情報も少なくありません。たとえば「生きた菌が腸に届く」「○○菌が効く」は必ずしも正しくなく、乳酸菌の仲間であれば、死んだ菌でも健康に寄与しますし、菌の種類よりも量を重視すべきです。本書は腸内細菌の働きや性質について、60年あまり研究を続けてきたこの分野のパイオニアが腸内細菌と腸内フローラが人体に及ぼすしくみと、どうすれば健康になれるかを分かりやすく解説しています。
2016年3月17日 8:45 カテゴリー:書籍紹介