書籍紹介「老後破 長寿という悪夢」 NHKスペシャル取材班 著
老後破 長寿という悪夢
NHKスペシャル取材班 著 ISBN978-4-10-405606-4
ひとり暮らしの高齢者が600万人に迫る中、年収が生活保護水準を下回る人はおよそ半数。このうち生活保護を受けている人は70万人、残る人たちの中には預貯金など十分な蓄えがある人もいるが、それを除くと、ざっと200万人余りのひとり暮らしの高齢者は生活保護を受けずに年金だけでギリギリの生活を続けているが、病気になったり介護が必要になったりすると、とたんに生活は破たんしてしまう。
今、お年寄りを取り巻く環境は極めて厳しい。少子高齢化が急速に進む中、年金、医療、介護といった社会保障給付費は、国民所得額の30%以上を占めている。現役世代が65歳以上の高齢者を何人で支えるかをみると1990年は5.1人でひとりの高齢者を支えていたものが、2010年には、2.6人、2030年には1.7人とほぼ現役世代ひとりで高齢者ひとりを支える構造に近づいている。そして、世代間の厳しい対立や自己責任論が叫ばれている。
こうした高齢者を取り巻くがんじがらめの状況を、そのまま放置していいのだろうか。取材班はそうした立場をとらない。厳しい状況の中だからこそ「最適解」を見出そうとする社会であって欲しいと願う。
本書は2014年9月28日放送のNHKスペシャル『老人漂流社会~“老後破産”の現実~』をベースに、番組で紹介しきれなかった高齢者の現実も含めて描き直したルポである。今、何が起きているか現実をみつめることからスタートしなければ議論は始まらない。さらに、非正規雇用など不安定な雇用が増加するなか、結婚しない若者もまた増えてきている。親の年金に頼っているうちはまだしも、その先にある「老後破産」再生産。今、取材班はこの問題の取材を開始している。平均的な年金支給、自宅を所有、ある程度の預貯金…
それでも「老後破産」は防げない!
年金生活は些細なきっかけで崩壊する!
決してあなたも例外ではない!!
2016年1月21日 8:46 カテゴリー:書籍紹介