書籍紹介「日本は世界一の“医療被曝”大国」近藤 誠 著
日本は世界一の「医療被曝」大国
近藤 誠 著 ISBN978-4-08-720788-0
福島第一原発事故から2015年3月で四年が経過しました。事故当初のような大量の放射性物質は漏れていませんが、それでも原発から今でも毎時1,000万ベクレル(放射性物質が放射線を出す能力を表す単位)の放射性物質が大気中に漏れ続け、拡散され、風に乗って遠くまで運ばれています。しかし、日常生活の中で特に放射線を意識している都民はそれほど多くありません。放射線が目に見えず、臭いもないからです。
また、福島県産の農産物や海産物はすべて簡易放射能測定装置で検査され、市場に出回っているものについては「食べても安全」とされています。しかしながら、いざ食材を買う段になったら、買うのを迷う人も多いでしょう。安心だと言われても、何となく不安だからです。
一方、風邪がこじれて咳が止まらなくなり、病院で診療を受けた際「とりあえず胸のCTを撮りましょうか」という医師の言葉になぜ疑問を抱かないのでしょうか。どちらも放射線です。原発は不安だけどCT検査なら安心なのでしょうか。しかし、現在、放射線による以下の事実が明らかになっています。
(1)100ミリシーベルト以下の低線量被曝でも、白血病などのがんになる確率が高まる。
(2)子どもは成人に比べ放射線感受性が高いので、発がんリスクが2~3倍高くなる。
(3)欧州各国のエックス線検査による発がんリスクは0.6~1.8%なのに対し、日本は3.3%。
(4)原発作業員の被曝限度は年平均20ミリシーベルト、一方、腹部CTは1回で同程度の線量に到達する。
(5)世界中のCT検査件数のおよそ半分が日本で行われている。
著者の専門である放射線科の知識を駆使し、医療被曝の闇を暴く!!
2015年8月20日 8:58 カテゴリー:書籍紹介