書籍紹介 「歯を疑え!」丸橋 賢 著
書籍紹介 「歯を疑え!」
丸橋 賢 著 ISBN978-4-344-03858-5
従来の全人医学には、肝要の歯が抜け落ちています。実は歯にこそ生命活動を支える主柱の役割があるのです。しかし、「口の中しか見ない」歯の治療では、患者さんの身心の問題改善どころか、歯の治療さえ難しい。
著者は口の中から全身の健康を向上させる治療を全人歯科医学と名付けて、歯が重要な役割を担っている以下の四つの条件を整える事を重視しています。
(1)食のバランスを整える (2)体のバランスを整える (3)心のバランスを整える (4)運動と休養のバランスを整える
(1)食のバランスを整える
学会が提唱する歯周病の病因はプラーク原因説ですが、それでは治らない歯周病があまりにも多い。そこで、来院患者の実証分析によって、「歯周病になりにくい食」は、カロリー、脂質、たんぱく質が控え目でビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富である事を見出しました。
(2)体のバランスを整える
体の歪みは、体の重心のズレによって引き起こされ、その原因のほぼすべては歯の咬み合わせのズレによって起きる下顎位のズレつまり偏位です。そこで、下顎が上下、左右、前後にどの程度偏位しているかを診断し正中(正しい位置)を定めます。次にその位置に下顎を誘導してシリコンを咬ませ、インスタントのマウスピース(スプリント)を作り、その後の治療を行います。
(3)心のバランスを整える
神経系も血管も脊柱(頸椎、胸椎、腰椎など)に沿って走っていますから、それが曲がると、神経系にも不具合が生じます。中枢神経が歪むと脳の働きも不具合を起こす。また、近年、エピジェネティクスによって遺伝子の働きが、心の状態などによって左右される事も明らかになっています。
(4)運動と休養のバランスを整える
適度な運動は必要ですが、咬むという運動の重要性も決して忘れてはいけません。従って、必要な栄養素が含む食品をジュースにして飲んでも咬む運動が欠落し、体も脳もダメになります。また、早寝早起きに勝る休養法はありません。
原因不明の心身の苦しみ(頭痛、腰痛、手足のしびれ、不眠症、ウツなど)の犯人は「歯」かもしれません!
医療の常識を変える全人歯科医学の力!!
2022年6月16日 8:39 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「胃は歳をとらない」三輪洋人 著
書籍紹介「胃は歳をとらない」
三輪洋人 著 ISBN978-4-08-721197-9
胃が痛い、胸やけがする、食べると重苦しい、酸っぱいものが込み上げる・・・そんな胃の症状で悩む人はとても多い。しかし実は、胃はほとんど加齢の影響を受けない臓器です。胃の不調や疲労は、胃そのものの異常によって起こるのではなく、別の原因があります。胃には、胃潰瘍や胃がん、逆流性食道炎など内視鏡検査をすれば、変化がわかる「器質的疾患」と目には変化が見えないのに臓器の働きに異常が現れる「機能的疾患」があります。現在は、後者の機能的疾患の患者さんが急増しています。
本書では、これら両疾患を総称して「胃不調」と呼び、働き過ぎ、ストレスなどによって一時的に現れる胃の不快感を「胃疲労」と呼んでいます。
それでは、加齢ではない胃の老化をもたらす原因はなんでしょうか。主犯はピロリ菌、共犯が自律神経で、これらに負担を与えて悪影響を及ぼすのが食生活(質と量とタイミング)です。ピロリ菌が発見される以前(約40年前)は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの原因はストレスや生活習慣病とされていました。ピロリ菌がいると自覚はなくてもほぼ100%胃に炎症が生じ、数年すると胃酸を分泌する細胞を破壊し、胃の粘膜が徐々に薄くなり自覚症状のない「萎縮性胃炎」が発生し次に腸上皮化が生じて胃がんの前触れとなります。但し、ピロリ菌を除菌すると、胃酸が活発に分泌され、逆流性食道炎が発症する事があります。
一方、共犯の自律神経のバランスの乱れが原因で、「機能性ディスペプシア」を発症します。ディスペプシアとは、英語で「消化不良」を意味し、医学用語としては、「みぞおちを中心とした症状」として用いられ、機能性ディスペプシアとは「胃の働きが悪くて症状が出ている病気」を意味する病名となります。改善策としてはリラックスやストレスの解消がカギとなります。
消化器内科の権威が「胃不調」と「胃疲労」の謎を解明!!
2022年6月2日 8:50 カテゴリー:書籍紹介