書籍紹介「やってはいけない健康診断」 近藤 誠 和田秀樹 共著
やってはいけない健康診断
近藤 誠 和田秀樹 共著 ISBN978-4-7973-9361-3
職場健診、人間ドック、集団がん検診。どれも日本だけの「奇習」で、命を縮めることが分かっています。元気なのに検査で“がん”“高血圧”などが見つかって一生クスリ漬けになる。手術で苦しむ。ストレスで不眠やうつになる。バカバカしい、の一言です。僕は医者ですが、40年間、健診を受けていません(近藤 誠)。
いまや医療ビジネスのターゲットは、お年寄りではなく老化が気になり始める40~50代。健診を強要し、メタボと脅してやせさせる。うさんくさい「正常値」「基準値」で治療に追い込む。すべて、カネになる「患者」を量産するワナです。健診は不幸の始まり、と肝に銘じてください(和田秀樹)。
本書は、日本の医療を憂える近藤・和田の両氏が、過剰な医療介入を避け、寿命を縮めないために知っておくべきことを語っています。例示をすると以下のようです。
(1)医者たちは「無効」とわかっている検査と治療をやめない
欧米には日本のような制度としての、生活習慣病の健診は存在しませんが、クリニックの外来などで高血圧や高血糖を見つけると日本と同様に健康人を「病人」に突き落とし、クスリを飲ませ、人々は本当の病気になっています。
(2)医学部と製薬会社がつくった正常値神話
両者のズブズブの関係から新しいクスリがどんどん生まれ、それを売りさばくために「正常値」「基準値」がつくられ、低い方に低い方に操作されています。
検査の異常値の多くは、そもそも本人の「個性」である!!
医者が絶対に言わない「不都合な真実」。
2018年7月19日 8:47 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「医者の逆説」 里見清一 著
医者の逆説
里見清一 著 ISBN978-4-10-610750-4
通常の医療者の立場からすると「医者にあるまじき発言」と批判されることもあるが、臨床の現場で悩み、考え抜いてきた著者の言葉は苦く、刺激的である。「“失敗しない”と言う医者は信用してはいけない」「希望はときに患者を苦しめる」「延命よりも大切なものがあるだろう」「最後まで頑張らせる残酷さ」「休日の病院は危ない」ーコストも人的資源も限られている状況下で、私たちは医療に何を求め、何を諦めるべきか。遠慮も忖度も一切抜き、医者だから見える真実が詰まった比類なき一冊。
本書の内容を要約すれば、その「忖度」のメカニズムを解析する一方で「忖度」を剥ぎ取って「誰もが思っていること」をあらためて明るいところに提示して眺めてもらうことである。
我々は誰に遠慮しているのだろうか?「遠慮」「忖度」は日本の美徳なのかも知れないが、仲間内での諍いを回避しようとするあまり「誰もがそう思っていること」に目を瞠り、口を閉じて、黙って破滅に向かうのは、昭和初期に陸海軍内部の「和」を保つために「負けると誰もが思っていた」戦争に突入したのと全く同じ構図ではなかろうか、と思ってしまう。言論は空しい、いや言論だけではない、自分のしている事、文字も芝居も(著者の場合は「臨床も研究も」になる)、すべてが空しい。が、それを承知の上で著者はやはり今までと同じ様に何かを書き、何かをして行くと主張する。
遠慮忖度一切抜き、真実を射抜く医療論!!
2018年7月5日 8:56 カテゴリー:書籍紹介