書籍紹介 「発達障害」 岩波 明 著
発達障害
岩波 明 著 ISBN978-4-16-661123-2
本書は、成人における発達障害について、一般の方を対象として、その具体的な概念や内容を知って頂くことを目的としています。
この10年あまり、発達障害はマスコミでも頻繁に取り上げられ、一般の人もよく耳にするようになったにもかかわらず、いまだ誤解が多い。なぜかというと(1)これまで医療や福祉で扱われてきた発達障害は、比較的重症のものに限られ、現在問題となっている、知的能力の高いアスペルガー症候群の人たちなどは、そもそも治療や援助の対象とみなされていなかった。(2)さらに最近まで発達障害は児童期の疾患とみなされ、ほとんど小児科で扱われ、成人を専門としている医師やカウンセラーの多くは、発達障害の治療経験を持っていない。従って、彼らは発達障害についての理解は不十分です。
本書では、成人期の発達障害の代表的な疾患であるアスペルガー症候群などの「自閉症スペクトラム障害(ASD)」および「注意欠如多動性障害(ADHD)」を主に扱っています。この2種類の発達障害は、成人期における発達障害の大部分を占めますが、、両者はまったく別物ではなく、複雑に関連しています。
ところで、発達障害についての大きな問題の一つは診断の不正確さです。これには過剰な診断と過小な診断と両方のケースがあります。過剰診断の中でもっとも頻度の高いものは「対人関係や社会性の障害」がみられるために、アスペルガー症候群の診断を受けているケースです。しかし、対人関係についての問題は統合失調症や対人恐怖症(社交不安障害)あるいはうつ病などの精神疾患においても頻繁にみられ、実は「健常者」においても珍しくありません。逆に、過小診断もしばしばみられます。うつ病など他の精神疾患と誤診されている場合や、発達障害の存在を見逃されまったく問題がないとされるケースも珍しくありません。
日本の医学界きっての専門家が、ASD、ADHD、アスペルガーの謎に迫る!!
2017年8月17日 8:53 カテゴリー:書籍紹介
【夏期休業のお知らせ】
《夏期休業のお知らせ》
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2017年8月4日 16:24 カテゴリー:お知らせ
書籍紹介「天気痛」 佐藤 純 著
天気痛
佐藤 純 著 ISBN978-4-334-03990-5
著者が名づける「天気痛」は病名ではなく「天気の影響を受けて生じたり、悪化したりする慢性の痛みがある」という病気の状態、すなわち「病態」です。したがって天気痛には、元になるなんらかの病気や症状があります。元になる病気や症状があり、その慢性の痛みの上に、天気の影響を受けてさらに痛みが重なることが、天気痛を複雑なものにしている原因の一つです。
具体的な天気痛の元になる病気や症状には以下のものがあります。
片頭痛、頚椎症、肩凝り、変形性関節症、腰痛症、関節リウマチ、線維筋痛症などで、天気の変化が慢性痛を悪化させるメカニズムは、ごく大雑把にいえば、天気の変化を身体が感じる→変化がストレスとなり交感神経に作用する→痛みが生じる で、基本的にはどの病気や症状でも同様です。なお、天気には、さまざまな要素がありますが、痛みに大きな影響を及ぼすのは「気温」「気圧」「湿度」の3つで、天気痛の三大気象要素ともよばれます。
患者さんの本当の姿は、一つの尺度ではわからず、痛みの尺度が低くても、不安感が高かったり、QOLが低かったりすることもあります。痛みの尺度が高く、QOLが低くても、自己効力感(やれるという自信の程度)が高い人もいます。従って、痛みの強さだを見て「さほどでもないから大丈夫だ」と思ったりすると、治療法を誤ってしまいます。
慢性痛のある人は、次の3段構えの治療が必要のなります。
(1)天気の変化を察知して、痛みを未然に防ぐ。
(2)自分の痛みが天気に左右されていることを知り、痛みをコントロールする方法を身につけ、痛みに対する認知を戻す。
(3)痛みの元になっている病気を治す。
なお、天気の影響を受ける病気や症状は天気痛以外に、心臓病、脳卒中、精神疾患、喘息、歯周病、虫垂炎などがあり、天気痛も含め、これら天気の影響を受ける病気や症状を総称して「気象病」とよびます。
本書では、二十数年に及ぶ天気痛研究によるつらい痛み・不安の原因と治療法が示されています。
2017年8月3日 9:01 カテゴリー:書籍紹介